家計簿の継続に不可欠なポイントは無理をしないこと
家計の収支の流れの把握に役立つ「家計簿」。お金の流れを「見える化」することは、出費をコントロールしたり固定費の契約を見直したりするきっかけになります。
できるだけ負担なく家計簿を継続していくための大切なポイントをチェックしていきましょう!
家計簿をつける目的を明確化する
家計簿を継続するには「目的を明確にすること」が大切です。
「ムダな出費を減らす」という漠然とした目的よりも、
- 公共料金や通信費などの固定費を月○円に抑える
- 1年間の貯金額を5万円増やす
- 色々なサブスクリプション契約を総額で月○円になるように契約を見直す
など、具体的な数字を盛り込んだ目的を立てましょう。
1~2年継続すれば、老後まで見据えたプランニングもしやすくなるでしょう。
家計簿をつけることによる成功体験を重ねる
家計簿の継続に大切なもう1つのポイントが「成功体験」です。最初から大きな目標額を目指したり長期に渡る計画を立てたりすると、計画通りにいかず挫折感だけ味わうことも少なくありません。
最初は、「半年間で3~5万円節約」など小さなことから始めましょう。
成功体験を重ねていくことで「家計簿をつけることは役に立つ」とポジティブに捉えられるようになります!
少しずつ成功体験を重ねながらハードルを上げていき、いずれはマイホーム購入や子供の進学、結婚、老後といった大きなライフイベントのための長期目標にステップアップしていきましょう。
継続しやすい家計簿の付け方には条件がある
実は家計簿そのもののつけやすさやつけ方も継続を作用する重要な要素になり得ます。
継続しやすい家計簿やそのつけ方の条件は以下の3つです。
- なるべくシンプルな家計簿
- 使いやすいと思えるツールを使用
- 1日の生活の流れでつける
なるべくシンプルな家計簿を使う
最もシンプルな家計簿には「先月の銀行残高-今月の銀行残高=月の支出」だけを記載した思い切りのよいタイプもあります。支出項目が不明でも月の収支が赤字か黒字かは判別可能なので、シンプルですが内容に不足はありません。
①項目を絞る
家計簿を初めてつけ始める方は、なるべく項目を絞ったシンプルな家計簿が◎。住宅費・公共料金・通信費・食費・日用品・お小遣い・特別費など5~6項目に絞り込んで、まずは無理のない範囲で家計簿をつけていきましょう。
個人の出費なら、例えば特定の趣味(例えば釣り)に使う金額が大きい場合、遊興費でひとくくりにするのではなく、遊興費と釣りは項目を別にします。
家庭の出費でも同様です。例えば、外食が多いご家庭なら、外食は食費でくくらず、食費と外食費というように別項目とし、金額が大きいほうの項目の出費を見直していきましょう。
②ざっくりした金額で記入
ざっくりした単位でもお金の流れは充分把握できます。1円単位で細かくつけると、計算に一手間かかってしまい家計簿をつけるのが面倒になりがちです。
最終的に数千円単位の差額が出たら使途不明金に計上することにして、精確さよりも家計簿を継続してつけることを重視しましょう。家計簿に慣れてきた段階で、使途不明金をなるべく少なくしていけばOKです。
③クレジット決済の記録は引落日にまとめる
悩ましいのは「クレジット決済」をどのように記録するか。カード利用額が引き落とされるのはカード決済日の翌月、翌々月。決済日の月に記入してしまうと家計簿上の残高と銀行残高がずれる可能性があります。
月のお金の収支を純粋に把握するためには、決済日でなくカードの引落し日に金額を記入したほうがよいでしょう。
家計簿のシンプルな書き方
- 記録する項目を絞る
- 出入金額はざっくりした単位を心がける
- クレジットカード利用額は引落し日を基準に管理が◎
使いやすいツールを使用
家計簿は自分が使いやすいと思えるツールを選びましょう。書店で販売されているような本格的な家計簿である必要はありません。
家計簿に使えるツールには次のようなものがあります。
- 大学ノート
- スケジュール手帳のメモ欄
- 表計算ソフト/Googleスプレッドシート
- レシート読み込み機能のあるスマホアプリ
スマホの家計簿アプリは、入力の手間が省けるほか、支出と収入のバランスを自動で表示してくれるなど、家計簿初心者にうれしい機能がそろっているので重宝しますよ。
1日の生活の流れでつけて習慣化する
帰宅直後・夕食後や家事の合間になるべくサッと家計簿をつけてしまいましょう。生活の流れのなかでつけられるように、自宅で長く過ごす場所や家事の動線上に家計簿を置いて、手に取りやすくするのがポイントです。
継続しやすい家計簿のコツは、まずは「無理をしないこと」に尽きます。
初心者のうちは家計簿の書き方をなるべくシンプルにするのがおすすめ!
家計簿の継続に役立つアプリ3選
家計簿の継続には、いつも使っているスマホのアプリが役立ちます。中でも定評のあるアプリを3選してご紹介します。
Mable(メイブル)の家計簿機能は自動集計あり、しかも無料
Mable(メイブル)は三菱UFJ銀行の運営・提供する家計簿アプリです。毎月の三菱UFJ銀行以外も含む銀行口座の収入・支出や、クレジットカードの支払い、電子マネーの残高などを一括管理できます。
Mableの特長
- 銀行口座の残高、クレジットカード利用額、ポイントカードのポイント数を自動で取り込み、表示
- 支出に関する注意点をクイズ形式でお知らせ
- 毎月の支出をカテゴリー分けして自動集計
- 三菱UFJ銀行口座をお持ちなら「つかいわけ口座」でお金を振り分けられる
- 三菱UFJ銀行の口座がなくても使える
- 有料プランなし。無料で使える
個人資産管理サービスのMoneytreeと連携してお金の情報を管理
Mable(メイブル)は個人資産管理サービスのMoneytree(マネーツリー)と連携して、複数の銀行口座、クレジットカード、ポイントカードなどのお金の情報を一括で管理できます。
月ごとの収支が「ふりかえり」として自動集計されグラフ化されるので、これまで家計簿の継続が難しかった方も気楽に家計管理ができますよ。
現金での収入・支出も手入力できるので、ふだんの買い物でのムダの洗い出しも簡単です。
つかいわけ口座で大事なお金を確保できる
絶対に確保しておきたいお金がある場合に便利なのが、Mableで作れる「つかいわけ口座」です。
三菱UFJ銀行に口座をお持ちの方が作れる口座で、三菱UFJ銀行の代表口座を親口座として、それぞれの口座間で24時間365日、振替が無料で何度でも行えます。クレジットカード支払いや銀行引落しでうっかり引き落とされたくないお金を、わざわざ別の銀行の口座に移す手間なく確保できます。
つかいわけ口座が作れるのはMableだけ。三菱UFJ銀行の口座があっても、店頭やスマート口座開設アプリからは口座開設できません。三菱UFJ銀行口座をお持ちの方は要チェックです。
Money Forward(マネーフォワード) MEは振替機能で収支を細かく管理しやすい
Money Forward MEは、株式会社マネーフォワードの提供する、個人向けの資産管理アプリです。
Money Forward MEの特長
- 銀行・クレジットカード・ポイント・マイルなどを自動で取り込み、表示
- 手動でカテゴリ分類した支出を月ごと、年ごとなどで表示
- 銀行から口座/財布/電子マネーに移動したお金を「振替」に分類し、家計簿の支出・収入に含めずに管理できる
- プレミアムサービス(月額/年額)利用で銀行・カード・電子マネーなどの登録数上限が解除
- プレミアムサービスで資産内訳の表示や、カード引落し時の口座残高不足、ポイント有効期限をお知らせ
「振替」機能で自分の銀行口座からのお金の移動を管理しやすい
Money Forward MEには「振替」という機能があります。振替機能を使うと、自分の口座から自分の財布へ移るなどの保有するお金の移動を支出・収入にカウントせずに済みます。
余分なお金の移動情報が混じらず純粋なお金の出入りがわかるので、精確に家計を管理したい方におすすめです。
月単位だけでなく年単位の表示も可能
Money Forwardにも毎月の収支の確認できる家計簿機能があります。こちらはプレミアムサービスの契約をしていなくても無料で使えます。
ただし、無料版の場合、銀行やクレジットカード、電子マネーの登録は合計10件まで。10件を超える複数の銀行口座やクレジットカード等を管理したい方や、クレジットカードの残高表示、家計資産レポートなども見たいという方は、有料契約が必要です。
Zaim(ザイム)のレシート撮影入力で買い物の記録が楽々
Zaim(ザイム)は株式会社Zaimの運営する家計簿サービスです。アプリだけでなくWeb版もあり、さまざまな端末から家計簿を管理できます。
Zaimの特長
- 複数の銀行口座・クレジットカードを自動連携
- レシートを撮影するだけで品名・金額を自動取り込み
- レシート撮影で自動登録したお店の「特売情報」をお知らせ
- キャッシュレス決済のポイント還元・割引の期間を知らせる「オトクカレンダー」
- 毎月の記録を紙に印刷可能
- プレミアム会員(月額/年額)登録で広告非表示、給付金・医療費控除、カテゴリ・内訳が編集可能など
レシート撮影入力で簡単に家計簿入力できる
Zaimで家計簿をつける際は、通常の手入力のほかに、「レシート撮影入力」機能が使えます。購入したレシートの表面をスマホのカメラで読み取って、家計簿に自動で入力してくれます。
英語表記やレシートに折り目のついているときなどは読み取りが上手くいかないこともありますが、このような場合、手入力で修正が可能です。
「ふりかえりプリント」で手帳やバインダーでも家計管理が可能
Zaimでは「ふりかえりプリント」という機能で、月ごとに収支のデータを印刷可能。自宅にプリンタがない場合はコンビニのネットプリントでの印刷もできます。
手帳やバインダーに挟んで1カ月の収支を意識したい方や、書き込みなどのしやすい紙で管理したい方なら重宝します。
家計簿を継続しながら収支を見直そう
家計簿はつけただけで終わるのではなく、必ず収支を見直しましょう。
家計簿の項目ごとに出費の見直しやすさに差がある
出費を見直しやすい項目と、見直しにくい項目にわけて一覧表にまとめてみました。
出費を見直しやすい項目 | 見直しやすさ |
---|---|
住居費 | ✕ |
保険料 | ◯ |
公共料金(※1) | ◯ |
通信費 | ◯ |
交通費(※2) | ✕ |
自動車 | ✕ |
日用品 | △ |
被服費 | △~◯(※3) |
食費 | △~◯(※3) |
交際費 | △~◯(※3) |
医療費 | ✕ |
教育費 | ✕ |
各自の小遣い | △(※4) |
※1:電気・ガス・水道代などのインフラ費用
※2:タクシーの多用などなければ見直しにくい
※3:個人の嗜好・習慣による
※4:各自の必要経費(ランチ代)などの扱いによる
最も見直しやすく出費の削減が期待できる項目
- 公共料金(水道代・電気代・ガス代)
- 通信費
- 保険料
上記の表のように、保険料や光熱費・通信費などは見直ししやすい項目。近年は使用量の見直しだけではなく、契約会社を選ぶことで基本使用料も見直せます。
任意の自動車保険や医療保険は、補償内容はほぼ同じまま、他社に乗り換えることで費用削減できる場合があります。特に、自動車保険は年齢によって保険料が変わるので更新ごとに見直したほうがよいでしょう。
労力の割には出費の削減が期待できない項目
- 食費
- 被服費
- 交際費
人によって見直しやすさが変わるのが食費・被服費・交際費。同一世帯や同一家計なら家族の協力が不可欠です。
例えば、各自の小遣いに日々のランチ代を含めているなら、減額するのは難しいかもしれません。どうしても減らしたい場合は手作り弁当にするなどの努力も必要です。ただし、いずれの項目も出費額が多すぎるなら、思い切って見直しましょう。
ほとんど削減できない項目
- 医療費
- 教育費
- 住宅費
- 自動車必要経費
医療費は月によって含まれないこともありますが、健康に関わることなので見直しはおすすめできません。特に、持病のある方は月々の必要経費として欠かせない出費となります。
また、子供の教育費は多岐にわたり額も大きくなりがちながらも、なかなか減らしにくいもの。しかし、家計の出費に占める割合が教育費だけ突出しているなら、別の塾・教育サービスへの乗り換えを検討してみて良いかもしれません。
お金のプロに見直してもらうのもおすすめ!
家計簿をつける上で最大の目的は「無駄を削って貯金する」こと。見直しをお金のプロに相談すると、効率のよい節約方法や最適な保険・貯蓄方法を紹介してもらえます。相談する際には、具体的な貯蓄目標額も伝えましょう。
家計のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談やオンライン相談の利用がおすすめです!
プロの視点で改めて盲点となっていた家計の問題点を改善していくチャンスになりますよ。
まとめ
この記事では、家計簿を継続するための方法をご紹介してきました。家計簿を継続するために大切なポイントは以下の4つです。
家計簿を継続する4つのポイント
- 具体的な目的を持つ
- 成功体験を重ねる
- 赤字か黒字かが分かるところから始めてOK
- どんなつけ方でも自分に合っていれば◎
家計簿を継続するのに重要なのは、「いつまでに」「いくら節約する」「何のために貯めるか」という具体的な目的です。
まずは、月々の収支が赤字なのか黒字なのかを把握することから始め、慣れてきたら、少しずつ家計簿の項目数を増やしてレベルアップしていく、という段階を踏みましょう。
家計簿のシンプルな書き方