物価上昇に対応した老後資産を確保するには投資の検討が不可欠です。こちらの記事では、老後資金を家賃収入で補えるような不動産物件をお探しの不動産投資が初めての方向けに、不動産投資の始め方や「落とし穴」への対策をご紹介します。
執筆者 竹原万葉
都内在住のライター・編集者。
目次
不動産投資の始め方に悩む方に多いのは、漠然と「上手く行かないのではないか」と心配することです。まずは、不動産投資のメリット・デメリットを押さえましょう。
不動産投資のメリットといえば、所有物件から定期的に家賃収入を得られること。自分自身が働かなくても自動でお金が入ってくる不労所得の代表格といってもよいでしょう。
しかし、投資にはリスクがつきもの。不動産投資も例外ではありません。自分でコントロールしきれない要因によって不利益を被るリスクもあります。
不動産投資で最もありがちなリスクといえば、入居率の低下です。
区分マンション投資の場合、管理会社の設備管理が不十分であったり、ゴミの収集・清掃などが適切に行われていなかったりすると、入居率の低下や空室期間の長期化といった残念な結果につながることもあります。
新築物件の場合、ローン返済に家賃収入を充てる割合が高いこともあり、キャッシュフローがマイナスになってしまうこともあります。
結果、貯蓄を取り崩してローン返済に充てる方や、たとえローン残債が売却額を下回る場合でも自己資金で穴埋めすることにして売却を選ぶ方もいます。
「資産を殖やすはずが逆に減る」のは避けたい! 駅直結、駅近など利便性の高い立地条件の物件だとリスクを抑えやすいです。管理会社に任せきりにしないことも大切。
収益性が低いと判断されたら、その物件は早めに手放したいもの。しかし、不動産投資では株などのようなスピーディな売買は難しいです。
例えば、区分マンションを例にとってみても、購入金額が大きく購入希望者のローンが通るとは限らないため、すぐに現金化できるとは限りません。
特に、年度の替わり目や人事異動のある年度末・夏など需要の高いタイミングを逃すと売却が難しくなります。
自己資金の残高と投資用物件のローン残債額・毎月の返済額によっては、空室による無収入を支えることができなくなり、結果として債務整理しなければならなくなる恐れもあります。
数カ月~1年程度、家賃収入が得られなくてもローンが支払えるような自己資金をあらかじめ貯めておくと安心です。
駅近などの利便性が高い立地条件で、入居率を高く保てる物件でも防ぎきれないのが、自然災害などのリスクです。
日本国内ではしばしば地震や台風にともなう被害に見舞われます。また、入居者による失火、階下への水漏れなどによる居室のダメージの恐れもあり得ます。
以上を考慮すると、ローン返済と並行して余裕資金を貯めることが重要といえます。ボーナス併用払いよりは毎月払いとするなど、無理のないプランでの返済が安心です。
上に挙げたようなデメリットはあるものの、不動産投資には他の投資商品にはない魅力的なメリットがあります。
なお、デメリットについては対策がとれます。
例えばノウハウのある管理会社に任せること、都心の物件に絞り込む、地震保険・火災保険でカバーするなどして、リスクの低くできますよ。
不動産投資は、ある程度の自己資金があり、時間や労力を惜しまず投資に取り組める方におすすめです。
不動産投資の始め方で悩んでいる方に多いのが、「本当に儲かるの?」という点に不安があることです。
しかし、そもそも投資はリスクを承知で行うもの。さらに、投資の「儲け方」のスタイルに複数あるように「確実に儲かる」方法は眉唾です。
不安をできるだけ抑えた不動産投資の始め方としておすすめなのは、収益は少ないが失敗しないことを第一とした不動産投資からスタートすることです。
投資のスタイルは、大きく2つに分けられます。
まずは自分の投資のスタイルを見極めなければ、不動産投資を始めることはできません。
10~80代までの男女1,588人に対して行われた「老後生活と不動産投資に関する意識調査」(※)によれば、「不動産投資を始めるならどちらですか?」という質問に対して、81%が「収益は少なくても失敗しないことを第一にした不動産投資」を支持していました。
多くの方の印象と同じく、リスクが高く収益性を第一にした不動産投資から始めるのは危険です。
不動産投資も他の投資と同様に、余裕資金があることが前提です。余裕資金は「最悪の場合、失敗して失っても仕方ないと諦められる資金」とも言い換えられます。
投資はギャンブルとは異なり、見返りを期待しつつリスクを見込むもの。始める段階では少額から試して、自分なりの知見を重ねさらに大きな余裕資金を確保してから次の段階へ進むとよいでしょう。
本業の時間的拘束によって、投資物件の管理に割ける時間・労力は変わります。そのため、不動産投資のスタイルは個人差が大きいです。
区分マンションの場合、本業が会社員である方が投資対象とすることが多く、管理会社に物件の管理を任せます。他方、アパート一棟だとご自身が管理人となるケースもあります。
不動産物件の種類を学ぶのと並行して、収入の軸足をどこに置くか、また、理想とするワークライフバランスのあり方を明確にしていきましょう。無理なく続けていける不動産投資のスタイルを見出しやすくなりますよ。
不動産投資の始め方で悩む方に多い傾向として、「ダメなんじゃないか」と情報収集する前から尻込みしてしまうこと。試す試さないの前によく知らないままでは正当な判断はできません。
不動産投資を始めるに当たって最初に行うべきなのは、不動産投資の対象となる物件にどのようなものがあるか知ること。
不動産投資の始め方の悩みは、投資物件について情報収集することで少しずつ解消していけます。
不動産投資の対象となる物件の種類は主に以下の点で分類されます。
不動産投資の始め方を考えるうえで、当初の自己資金額や土地所有の有無は大きな影響力を持ちます。
また、新築か中古かという点も検討の分岐点になり得ます。
〈新築物件の特徴〉
◎ 設備が新しく利便性が高い⇒物件の魅力に!
× 物件価格が高くなりがち
〈中古新築物件の特徴〉
◎ 物件価格が比較的低い⇒リターンが比較的大きい
× リフォーム・大規模修繕が必要だと余分な出費に!
新築・中古いずれの物件においても、入居者が安定して家賃を支払うこと、空室期間が生じないことがとても重要です。
なお、この他にも、物件の管理に自ら関わるか、それとも管理会社に一任できるかなど、不動産物件を見極めるポイントはいくつもあります。
さまざまな不動産投資物件の種類を把握するには、実際の物件の比較が役立ちます。スマホさえあれば、Webで不動産投資物件を見ることができますよ。
多くのサイト共通で以下のような項目から検索、絞り込み検索ができる場合もあります。絞り込み項目はサイト独自で設定されているものもあります。
掲載件数や絞り項目から自分にとって便利なサイトを見つけたら、会員登録し.て、気になる物件をチェックしていきましょう。
goo住宅・不動産は、NTTレゾナントの運営する不動産総合サイトです。全国の不動産投資物件を検索できるサイトの中でも、掲載件数が群を抜いています。居住地域にこだわらず投資物件をお探しの方におすすめです。
各物件の詳細ページの物件価格から「ローンシミュレーション」を見ることができます。金利と頭金を指定すると、10年間から手35年間まで5年きざみの返済期間での月々のローン返済額を計算してくれます。
〈投資用不動産物件の掲載件数〉
109,936件(2022年1月17日現在)
〈特徴のある検査の絞り込み項目〉
LIFULL HOME’S 不動産投資は、マンション経営やアパート経営を検討中の方に向けた、投資用物件の紹介サイトです。
各物件概要の隣にある「収益シミュレーション」タブで収益シミュレーションを行えます。投資対象・資金調達・収入・支出(毎月)・支出(毎年)が設定でき、細かく計算できるのが魅力です。
〈投資用不動産物件の掲載件数〉
31,893件(2022年1月17日現在)
〈特徴のある検索の絞り込み項目〉
楽待は、株式会社ファーストロジックの運営する不動産投資に関するサイトです。スマートフォンアプリもあり、頻繁に新規の物件や物件の値下げ・値上がりを確認したい方におすすめです。
掲載物件数が比較的多く、検索の絞り込み項目が細かいので、様々な条件から物件を効率良く探せます。また、各物件のページから利用できる「キャッシュフローシミュレーション」のほか、会員登録で路線値を調べられるのも便利です。
〈掲載件数〉
70,006件(2022年1月19日現在)
〈特徴のある検査の絞り込み項目〉
三井不動産リアルティグループの運営するサイトです。
物件詳細の価格欄にある「収支シミュレーション」から自己資金や金利・借入期間、支出を入力すると、投資のシミュレーションを計算、グラフ化してくれます。特に、細かい設定ができる点は秀逸。大規模修繕までの年数と支出額も設定できます。不動産投資について具体的かつ詳細に検討したい方は必見です。
〈投資用不動産物件の掲載件数〉
1,691件(2022年1月18日現在)
〈特徴のある検査の絞り込み項目〉
どのような物件があるのかわかってきたら、実際に現地に行ったり業者に問い合わせたりしてみましょう。
特に不動産投資のプロの話を聞くことは重要です。各物件の特徴がつかめるため、自分の投資の方針が立てやすくなりますよ。
不動産投資の始め方で悩むのは無理もありません。不動産投資に限らず、投資の方針を決めるのは知識と経験の浅い初心者には簡単なことではないからです。自分自身で判断するのは当然として、より確かな知見をもつ助言者として不動 .産投資会社にサポートしてもらうことをおすすめします。
もちろん、すべての不動産投資会社の意見を採用する必要はありません。複数の不動産投資会社に話を聞いているうちに、自ずと比較することになり、それぞれの営業担当の知識や不動産投資会社の信頼度が見えてきます。
長期で保有する不動産投資物件であれば、長く存続する見込みのある確かな投資会社が望ましいです。面倒に感じるかもしれませんが、複数の会社から話を聞き、しっかり比較しましょう。
不動産投資の始め方の悩みとしてありがちな「投資詐欺に遭うかもしれない」といった不安は、事前に不動産投資のトラブルを知って心構えすることで、ある程度解消できます。
不動産投資会社自体に業界で起こりがちなトラブルを質問しても正直に教えてくれるとは限りません。そこで活用したいのが不動産投資に関する法律相談の事例です。
弁護士に質問できるQ&Aサイトのほか、弁護士事務所の「マンション投資被害」などの法律相談事例も参考になります。
また、投資詐欺に遭わなかったとしてもトラブルは起こり得ます。例えば、入居率が低下して支出・収入のバランスが悪くなり投資物件を手放さすケースなどは典型的です。
複数の物件への投資を検討中で収支の管理が難しくなりそうなら、事前に不動産投資物件の収支シミュレーションのできる税理士を探しておくとよいでしょう。最悪の場合でも手放すべきタイミングがわかりやすくなりますし、節税の期待できる制度なども教えてもらえます。
また、実際に不動産投資を実践している人から学ぶのも参考になるでしょう。ただ、個人のサイトなどでは法的なトラブルや、投資判断にかかわる重要な情報をすべて教えてくれるわけではありません。
あくまでヒントとして参考にしていきましょう。
以上、主に不動産投資が初めての方に向けて、不動産投資の始め方をご紹介してきました。ポイントをふり返っておきましょう!
現在は低金利で始めやすい。不動産投資は、資産の小さい若いうちから始められる投資の一つです。ぜひ上にご紹介したポイントを参考にしながら不動産投資を検討してみてくださいね。
関連キーワード
不動産投資の始め方のポイント