適応障害で退職するとお金はどうなる?傷病手当金・失業手当の順番と退職前の確認事項

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この記事で分かること

  • 働けない間の傷病手当金と、回復後の失業手当の使い分け
  • 退職後も傷病手当金を受け取るために、退職前に満たすべき条件
  • 療養中に失業手当の受給期限を延ばす手続きと、回復後の申請方法

適応障害で休職していると、「退職したら生活費をどうしよう」「傷病手当金と失業手当は、どちらを申請するのだろう」と不安になることがあります。

退職後に利用できる給付は、今すぐ就職できる状態かどうかによって異なります。

業務外の病気の療養で仕事に就けない場合は、まず傷病手当金の条件を確認しましょう。

退職後も30日以上続けて働けない状態であれば、回復後の失業手当に備えて受給期限を延ばす手続きを行います。

傷病手当金を退職後も受け取るには、退職前から満たしておくべき条件があります。

退職や復職は給付の有無だけで判断せず、体調や働き方について主治医とよく相談してください。

本記事は制度の一般的な説明であり、個別の受給可否は加入先の健康保険やハローワークなどが判断します。退職日を決める前に確認することから、順に見ていきましょう。この記事で解説する失業手当と受給期間延長の内容は、退職時に65歳未満で雇用保険の一般被保険者だった方が対象です。65歳以上で退職する方や、季節雇用などで別の被保険者区分に該当する方は受給できる給付の種類が変わるため、ハローワークで利用できる制度をご確認ください。

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目次

傷病手当金と失業手当は、働ける状態かどうかで使い分ける

  • 現在は働けない場合:療養中の生活費を確保するため、傷病手当金を受け取れるかどうか加入先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)へ確認しましょう。
  • すぐに働ける状態の場合:退職後にハローワークで求職申込みを行い、失業に係る基本手当の受給要件を満たしているか確認しましょう。

一般に「失業手当(失業保険)」と呼ばれている給付は、正式には雇用保険の「基本手当」といいます。

退職後に利用できる健康保険の傷病手当金雇用保険の基本手当は、原則として同じ期間に両方を重複して受け取ることはできません。

傷病手当金は病気やケガで働けない状態にある人を支える制度であり、基本手当は働く意欲と能力があって求職活動をしても仕事が見つからない人を支援するための給付だからです。

重複しているかどうかは、口座への振込日ではなく、それぞれの給付の「支給対象日(対象期間)」で判断しましょう。

療養が長引く場合は、回復後に基本手当を受け取るための「受給期間延長」も確認しておきましょう。

なお、仕事の負担や職場環境が病気の発症に関わっている場合は、労災保険の対象となる可能性があります。
現在働ける状態にあるかどうかの判断とは別に、どの制度で手続きを進めるべきか労働基準監督署にも相談しておきましょう。

退職前後の手続きは、休職中から退職後まで4段階で進める

退職後の傷病手当金には、退職前から満たしておくべき条件があります。

まずは、休職中から退職後までの手続きの流れを押さえましょう。

STEP

休職中|休んだ日と給与の支給状況を確認する

病気で休んだ日と、休業中の給与・手当の支給状況を記録します。主治医には仕事内容と症状を伝え、働ける状態か相談しましょう。

STEP

退職前|健康保険の加入期間と受給要件を確認する

加入先の健康保険へ、退職後も傷病手当金を受け取れるか確認します。加入履歴と休業の記録を用意し、退職日を決める前に相談しましょう。

STEP

退職日|病気で働けない状態と、実際の勤務状況を確認する

退職日も病気で働けない状態であることが必要です。引き継ぎなどで実際に勤務すると継続給付を受けられないため、当日の予定を会社と確認します。

STEP

退職後|給付の申請と保険の切り替えを進める

傷病手当金の申請に加え、療養が続く場合は失業手当の受給期間延長を進めます。健康保険・年金の切り替えも確認しましょう。

退職日を確定する前に、健康保険の加入期間と休業の記録をそろえ、退職後も給付の対象になるかどうかを加入先の健康保険へ確認しておきましょう。

傷病手当金の対象になる条件|診断名だけでは決まらない

傷病手当金とは、勤務先の健康保険に本人(被保険者)として加入している方が、病気やケガで仕事を休んで十分な給与を受け取れないときに支給される給付金です。

適応障害と診断された場合も、次の4つの要件をすべて満たしている必要があります

在職中に満たす4つの基本要件

具体的に確認すべき項目は、傷病の原因仕事に就けない状態待期給与の支払い状況4点です。

申請書などに用いられる「労務不能」とは、病気やケガが原因で、これまで担当していた業務を行えない状態を指します。

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要件制度上の意味自分で確認すること
業務外の病気やケガである仕事や通勤が原因ではない病気・ケガの療養が対象です。仕事などが原因なら労災保険の対象か確認します。長時間労働やハラスメントなど、仕事が発症に関係すると考えられる事情がないかを整理しましょう。
仕事に就けない状態である医師の意見等と、実際に担当している仕事の内容を踏まえて、加入先の健康保険が判断します。診断書の有無だけで判断せず、主治医に実際の仕事内容や症状を伝え、就労の可否について相談しましょう。
連続3日の待期を含め4日以上休んでいる病気やケガで働けずに連続3日休んだ後、4日目以降の休業日が支給対象になります。休業開始日、出勤日、有給休暇、公休日をカレンダーで確認しましょう。
休業中に十分な給与を受けていない休業日に対する給与が出なければ、ほかの要件を満たす場合に傷病手当金を受けられます。給与が一部出る場合は日額と比べ、傷病手当金より少なければ原則として差額を受け取れます。基本給だけでなく、休業日に対して支払われる手当を含めて確認しましょう。
傷病手当金の4要件と、申請前に確認すること。

病気で就労できない状態であれば、有給休暇を取得した日や土日・祝日などの公休日であっても待期の3日間に含まれます。

待期は実際に仕事を休んだかどうかで判定されるため、その期間中に給与が支払われていても問題ありません。

ただし、待期としてカウントする3日間は必ず連続している必要があり、途中で仕事へ戻ると連続性が途切れてしまいます

就業時間中に業務外の病気やケガで働けない状態となった場合は、その当日を待期の初日として数えることができます。

これら4つの要件をすべて満たしているかどうか、休業の記録や給与明細を手元にそろえて加入先の健康保険へ確認してみましょう。

退職後も傷病手当金を受け取るための条件

退職前からの同じ傷病で引き続き働けず、次の条件を満たす場合は、残りの支給期間について傷病手当金を受け取れます。

この仕組みを「資格喪失後の継続給付」といいます。

加入期間と退職時点の受給条件を確認する

継続給付の判定条件

  • 加入期間:退職日までに、職場の健康保険へ被保険者(本人)として途切れることなく1年以上加入していることが必要です。
  • 退職日時点の状態:退職日時点で傷病手当金を受給中であるか、または業務外の傷病で働けず受給条件を満たしている必要があります。待期の3日間は退職日前日までに完了し、退職日当日が4日目以降でなければなりません。なお、給与の支払いによって手当金が一時的に支給停止されている場合でも、他の要件を満たしていれば対象となります。

この「1年」の加入期間には、退職後に会社の健康保険を継続する「任意継続」制度や、共済組合、国民健康保険への加入期間は含まれません。

転職などで健康保険の加入先が変わっている場合は、資格に途切れ(空白期間)がないかも含めて加入先へ確認してください。

退職日までに初回の振込や申請を終えている必要はありません。
大切なのは、退職日時点で受給条件を満たしていることです。

退職日の勤務と、有給休暇・公休日の扱いを確認する

退職日に実際に働いたかどうかは継続給付の可否に、給与が支払われるかどうかはその日の支給額に関わります。

有給休暇や公休日であっても、病気で働けない状態などの要件は必要です。

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退職日の状態継続給付の考え方確認すること
実際に勤務する退職翌日以降の継続給付を受けられない引継ぎや短時間勤務、在宅勤務を含め、実際の勤務予定を会社と確認する
有給休暇で勤務しないほかの条件も満たせば、退職後も継続給付を受けられる実際に働かないことと、有給休暇の賃金による在職中の支給調整を分けて確認する
公休日で勤務しないほかの条件も満たせば、退職後も継続給付を受けられる退職日の勤怠区分と、退職日時点で労務不能が続いていることを確認する
休職・欠勤で勤務しないほかの条件も満たせば、退職後も継続給付を受けられる給与や手当の支給状況、事業主証明の記載方法を確認する
退職日の勤務の有無と、給与による支給額の調整は分けて確認します。

引き継ぎなどで短時間だけ出勤する予定がある場合も退職後の給付に関わるため、事前に勤務先や加入先の健康保険へ確認しておきましょう。

傷病手当金はいくら・いつまで受けられる?計算式と支給期間

傷病手当金の日額は、給与などの報酬を一定の等級に区分した「標準報酬月額」をもとに計算します

以下で具体的な計算例や残りの支給期間を確認し、退職後の生活費の目安を立ててみましょう。

1日あたりの支給額は標準報酬月額で計算する

標準報酬月額は、税金や保険料を引く前の報酬を一定の幅で区分した金額で、健康保険料などの計算にも使います。

給与明細に記載されている実際の手取り額とは異なるため、金額が分からない場合は勤務先へ確認しておきましょう。

1日あたりの支給額 = 支給開始日の属する月を含む直近の継続した12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2

協会けんぽの場合は、標準報酬月額の平均を30で割って10円未満を四捨五入し、その金額に3分の2を掛けたあと、1円未満を四捨五入して日額を算出します。

試算の前提条件

  • 支給開始日の属する月を含む直近の継続した12か月の標準報酬月額の平均:17万円
  • 支給対象日数:30日間あると仮定
  • 給与や年金、他の給付との支給調整は行われないものとする
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計算手順計算結果
標準報酬月額を日額へ直す17万円 ÷ 305,670円(10円未満を四捨五入)
傷病手当金の日額を出す5,670円 × 3分の23,780円
30日分を概算する3,780円 × 30日11万3,400円
標準報酬月額の平均を17万円とした仮定ケースです。実際の支給額は支給対象日数や給与等との調整で変わります。

上記は一例ですが、自分の標準報酬月額と支給対象日数に置き換えると、生活費に充てられる金額を概算できます。

なお、休業中であっても給与が支払われる日がある場合や、支給調整の対象となる年金等を受給している場合は、傷病手当金が減額されたり不支給になったりすることがあります。

さらに、算定に用いる被保険者期間が12か月に満たない場合は計算方法が異なります。

また、転職などで加入先の健康保険が変わった方も、どの期間の標準報酬月額を基準とするかを加入先へ確認してください。

退職後の継続給付を受けている間に老齢厚生年金等を受給する場合や、同一の傷病で障害厚生年金・障害手当金を受け取る場合は、傷病手当金の一部または全額が調整されることがあります。

年金がさかのぼって決定されると、受給済みの傷病手当金の返納が必要になる場合もあるため、該当する人は加入先の健康保険へ連絡しましょう。

支給期間は、実際に支給される期間を合計して1年6か月

傷病手当金を受け取れる期間は、同じ病気やけがについて、通算1年6か月までです(「通算」とは、実際に支給の対象となった期間を合計することをいいます)。

在職中に受け取った分も含まれるため、退職してから新たに1年6か月受け取れるわけではありません

退職後も受給条件を満たしていれば、残りの期間について引き続き受け取れます。

期間を数える基準となる「支給開始日」は、最初に傷病手当金の支給対象となった日です(口座に初めて振り込まれた日ではありません)。

支給対象になるのは、連続して3日間休む「待期期間」を終えたあとの、早くても4日目からです。

ただし、有給休暇などで傷病手当金の日額以上の給与が支払われている場合は、支給開始日がそれより後になります。

在職中にいったん復職し、傷病手当金が支給されなかった期間は、通算1年6か月に含まれません。

一方、退職後の継続給付では、一度働ける状態になると、その後に同じ病気やけがで働けなくなっても受給を再開できません

退職後にあとどのくらい受け取れるかを知りたい場合は、支給開始日とこれまでの支給対象期間を確認し、退職前に加入していた健康保険の窓口へ問い合わせましょう。

傷病手当金に所得税はかからないが、退職後の保険料は別に確認する

傷病手当金は非課税でも、住民税の支払いが残ることがある

健康保険から受け取る傷病手当金所得税上は非課税で、所得税はかかりません。

一方、前年の給与所得などを基準に算出される住民税は、退職後にも支払いが残ることがあります。

傷病手当金が非課税であることとは切り離して考え、納付すべき金額や納付方法について勤務先や市区町村の窓口へ確認しておきましょう。

退職後の健康保険は、加入条件と保険料を比べて選ぶ

また、傷病手当金自体に税金がかからないとしても、退職後の健康保険料や年金保険料まで自動的に免除されるわけではありません

退職後は新たな保険への切り替え手続きを行い、保険料の負担額を確認しておく必要があります。

再就職まで間が空く場合の健康保険の主な選択肢は、

  • 退職前の保険を続ける「任意継続」
  • 市区町村の「国民健康保険」
  • 家族の健康保険の「扶養」

3つです。

傷病手当金の継続給付を受けるにあたって、必ずしも任意継続を選ぶ必要はありません

傷病手当金自体は退職前の健康保険へ申請し、退職後に加入する健康保険はそれぞれの加入条件や保険料の金額を比較したうえで決定しましょう。

協会けんぽの任意継続は、退職日までの被保険者期間が継続2か月以上あり、原則として退職翌日から20日以内に手続きする必要があります。郵送は期限内必着で、20日目が土日・祝日の場合は翌営業日が期限です。傷病手当金の審査結果を待って、保険の切替手続きが遅れないようにしましょう。

家族の健康保険の扶養では、傷病手当金も収入に含まれる

また、手当に税金がかからないことと、家族の扶養に入れるかどうかは別問題です。

健康保険の扶養認定においては傷病手当金も収入として算定されるため、受給額によっては扶養に入れなかったり、扶養から外れたりすることになります。

扶養を希望する人は、傷病手当金の日額を伝え、家族の勤務先や健康保険に加入条件を確認しましょう。

保険料の減免・免除と、年金の切り替えを確認する

もし保険料の納付が難しい場合は、国民健康保険料の減免について市区町村へ、国民年金保険料の免除や納付猶予について市区町村や年金事務所へ相談してみましょう。

これらの制度を利用するには、それぞれ所定の条件を満たしたうえで申請手続きを行う必要があります。

日本国内に住む20歳以上60歳未満の方で、再就職までに期間が空く場合は、原則として国民年金への切り替え手続きが必要です。

第1号被保険者となる場合は、退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村窓口で手続きを行います。

一方、厚生年金に加入している配偶者の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者の要件を満たす場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きを進めます。

働けない間に失業手当の受給期限を延ばし、回復後に手続きする

療養中に受給期限を延ばし、働ける状態になったら受給条件を確認して申請します。

傷病手当金とは窓口が異なるため、ハローワークでの手続きも進めましょう。

療養中:30日以上働けない場合は受給期間を延長する

基本手当を受け取れる期間は、原則として退職日の翌日から1年間です。

期限を過ぎると、給付日数が残っていても原則として受け取れません。

退職後も病気やケガで30日以上続けて働けない場合は、働けない日数を最長3年まで加算できます。

本来の受給期間が1年の場合、合わせて最長4年になります。

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確認項目内容手続き上の注意
対象になる状態離職後の受給期間内に、病気やケガで働けない状態が引き続き30日以上続く場合この記事で扱う基本手当の受給期間延長は、離職時65歳未満の一般被保険者だった人が対象(在職中には申請不可)
申請する時期離職後、働けない状態が30日以上続いた日の翌日以降、できるだけ早く申請する延長後の受給期間末日まで申請可能、申請が遅いと、受給できる日数を残したまま期限が来て受け取れなくなることがある
延長できる期間本来の受給期間が1年の場合、働けない期間を最長3年まで加算可能基本手当の給付を受けられる日数そのものが増える制度ではない
基本手当の受給手続き前の書類受給期間延長申請書、手元にあるすべての離職票-2(退職日や離職理由などを記載した書類)、診断書など延長理由を証明する書類離職票-1は受給期間延長の手続きには提出しない
回復後の基本手当の手続きに備えて保管
基本手当の受給手続き後の書類受給期間延長申請書、雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知、延長理由を証明する書類基本手当の受給手続きの前後で必要書類が異なる
提出先・方法住所地を管轄するハローワークへ、本人が来所するほか、郵送または代理人により提出可能代理人による申請には委任状が必要
病気やケガによる受給期間延長の手続き。証明書の様式や必要書類の詳細は、管轄ハローワークへ確認してください。

たとえば所定給付日数が90日の方の場合、受給期間を延長したとしても、受給できる上限日数は90日のまま変わりません。

もし離職票がなかなか届かない場合は、会社へ発行状況を問い合わせるとともに、管轄のハローワークにも早めに相談しておきましょう。

傷病手当金を申請しても、受給期間延長は自動で行われません。健康保険とハローワーク、それぞれの受付状況を確認しましょう。

回復後:雇用保険の加入期間と離職理由を確認する

受給期間を延長しても、自動的に基本手当が支給されるわけではありません。

働く意思と能力があり、求職活動を行うことに加え、雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要があります。

ここで確認が必要なのは、傷病手当金を受給する健康保険ではなく、雇用保険の加入期間である点に注意しましょう。

原則は、退職前2年間に通算12か月以上の加入が必要

通常は、退職日以前の2年間に雇用保険の「被保険者期間」通算して12か月以上求められます。

単なる在籍月数ではなく、原則として離職日から1か月ごとに区切り、給与の支払いの基礎となる日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を数えます。

病気による退職や無給の休職期間には特例がある

ただし、病気療養などのやむを得ない事情で退職した方は、「特定理由離職者」に該当する可能性があります。

特定理由離職者と認められた場合、退職前1年間に通算6か月以上の被保険者期間があれば、受給資格を得られるケースがあります。

在職中に病気などで30日以上続けて給与を受け取れなかった期間があるときは、被保険者期間を計算する対象期間を最長4年までさかのぼって広げられる場合があります。これは退職後に行う「受給期間延長」とは別の扱いなので、無給の休職期間が長い人は、その記録もハローワークへ伝えてください。

離職理由の区分によって必要な受給条件が変わるため、医師の診断書や退職に至る経緯がわかる資料をしっかりと準備しておきましょう。
なお、病気の診断名だけで自動的に特定理由離職者と決まるわけではなく、ハローワークが個別の事情を踏まえて総合的に判断します。

離職理由によって、給付制限の有無が変わる

病気による退職が「正当な理由のある自己都合」と認められた場合は、正当な理由のない自己都合退職のような給付制限は適用されません。

ただし、通算7日間の待期や定期的な失業認定の手続きは通常どおり必要となります。

一方、正当な理由のない自己都合退職と判断された場合は、待期期間の満了後に給付制限が課されます。2025年4月1日以降の退職であれば給付制限期間は原則1か月ですが、過去の離職歴などに応じた例外もあるため、自身に適用される期間をハローワークで確認しておきましょう。

離職票の理由が実際と異なる場合は、窓口へ申し出る

離職票に記載された離職理由は、給付制限の有無など受給条件の判定基準として用いられます。

もし記載内容が実際の事情と異なっている場合は、受給手続きを行う際に窓口でその旨を申し出てください。

診断書、会社とのメールやチャット、休職・退職までの経緯を確認できる資料があれば持参してください。

回復後:求職申込みと基本手当の手続きをする

働ける状態になったら、ハローワークで求職申込みと基本手当の手続きをします。

延長前に受給資格が決まっていた方は、受給再開の手続きを確認してください。

延長していた方は、受給期間延長通知書と、働けない理由がなくなったことを確認できる書類などを提出します。

医師の証明書の様式や必要書類は、事前に窓口へ確認しましょう。

手続きへ進む時期は、傷病手当金を受け取り終わったかではなく、働ける状態になったかで考えます。

通算1年6か月分を使い切る必要はなく、反対に支給が終わっても働けない間は基本手当を受けられません。

加入先の健康保険とハローワークの両方へ体調の変化を伝え、給付の対象期間を確認しましょう。

基本手当には、通算7日間の待期期間がある

初めて基本手当の受給手続きを行う際は、受給資格が決定した日から数えて、失業状態にあった日が通算7日間に達するまでの「待期期間」が設けられています。

これは傷病手当金の待期(連続3日間)とは別個のものであり、手続きを行った当日にすぐ手当が振り込まれるわけではありません

体調に合わせた勤務時間や仕事内容なら働けるなど、就職できる状態か判断が難しい場合は、医師の意見と希望する働き方を整理しましょう。

傷病手当金と基本手当では判断の目的が異なるため、併給を前提にせず、加入先の健康保険と管轄ハローワークの両方へ相談してください。

求職申込み後に働けなくなったら、雇用保険の「傷病手当」を確認する

雇用保険の「傷病手当」は、健康保険の「傷病手当金」とは別の制度です。

求職申込みをして受給資格が決まった後に、病気やケガで15日以上続けて働けなくなった場合、要件を満たせば基本手当の代わりに支給されます。

支給額は基本手当と同額で、残りの給付日数の範囲内です。

働けない期間が14日以内なら、必要な証明による失業認定を受けて基本手当の対象となる場合があります。

そのため雇用保険の傷病手当は、退職した時点ですでに働けない状態にある人が最初に申請する制度ではありません

また、同一の傷病に関して健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付などを受けられる日には、雇用保険の傷病手当は支給されません。

さらに、待期期間中や給付制限期間中の日についても支給対象外となります。

基本手当の手続きを終えた後に体調を崩した方は、傷病手当の対象になるのか、あるいは30日以上働けない場合は受給期間の延長を選ぶべきか、手続きを行ったハローワークへ確認してみましょう。

仕事が原因と考えられる場合は、労災保険の相談を並行する

仕事や通勤が原因で起きた病気やケガは、健康保険ではなく労災保険で扱われます。

休業補償等には、療養のために働けず賃金を受けられないことなどの要件があります。

長時間労働やハラスメントなどが発症に関係していると考えられる場合は、どちらの制度で手続きを進めるべきか労働基準監督署にも相談しましょう

精神障害の労災認定は診断名だけで決まるわけではなく、発病前の業務上の出来事や心理的負荷、業務以外の要因なども踏まえて総合的に判断されます。

仕事との関連性をきちんと説明できるよう、手元の記録を以下のように整理しておきましょう。

  • 勤怠記録やタイムカード、パソコンのログなど、労働時間が分かる資料
  • メールやチャット履歴、業務指示書など、仕事の内容や負担が分かる記録
  • ハラスメントや重大なトラブルが起きた日時・場所・内容のメモ
  • 人事や上司、産業医、労働組合などへ相談した記録
  • 医療機関を受診した日付や、症状・診断の経過が分かる資料
  • 休職や配置転換、復職の判断、退職までの経緯が分かる資料

これらがすべてそろっていなくても相談自体は可能です。
手元にある資料を持参し、事業場を管轄する労働基準監督署または都道府県労働局へ、どの資料が必要か確認してみましょう。

退職前に確認する書類と窓口

傷病手当金の申請書には、本人が記入する欄に加えて、医師による意見の記入や、在職期間に関する勤務先の給与・勤怠証明が必要です。

申請する対象期間に合わせて、誰にどの欄の記入を依頼すべきかをあらかじめ確認しておきましょう。

退職後に連絡や証明の依頼で慌てずに済むよう、必要な書類と担当窓口を退職前に確認しておきましょう

手続きごとの必要書類と相談先

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手続き主に用意・確認するもの確認先
傷病手当金傷病手当金支給申請書の本人記入欄、事業主記入欄、療養担当者記入欄、申請対象期間。必要な記入欄は申請対象期間などに応じて確認します。加入先の健康保険、勤務先、医療機関
資格喪失後の継続給付健康保険の加入履歴、待期完成日、退職日時点の労務不能、退職日の勤務予定、給与や手当退職前に加入している健康保険
基本手当の受給期間延長受給期間延長申請書、離職票-2または雇用保険受給資格者証等、診断書など延長理由を証明する書類住所地を管轄するハローワーク
回復後の基本手当初めて手続きする人は、離職票-1・2、本人確認・個人番号確認書類、本人名義の口座情報など。受給資格決定後に延長した人は、雇用保険受給資格者証等が必要です。延長していた人は受給期間延長通知書と延長理由がやんだことを確認できる書類も用意します。住所地を管轄するハローワーク
労災保険の相談発症前後の勤務状況、業務上の出来事、会社への相談、受診経過が分かる資料労働基準監督署、都道府県労働局
健康保険組合や管轄ハローワークにより様式・提出方法が異なる場合があります。

退職時に65歳以上の方は、高年齢求職者給付金など、ご自身が対象となる給付をハローワークへ確認してください。

窓口で相談した内容はメモに残し、申請書類や給与明細、離職票などと一緒に保管しておくと、別の窓口で手続きする際にも事情をスムーズに伝えられます。

傷病手当金の申請期限と、入金までの備え

なお、請求権は支給対象となる日ごとにその翌日から2年で時効を迎えるため、数か月分をまとめて申請する場合でも期限切れには十分注意してください。

協会けんぽでは、在職中の申請について給与の締切日ごとに1か月単位で行うことを推奨しています。

証明書の依頼や審査にかかる時間を考慮し、初回の振込があるまでの生活費も確認しておきましょう。

【Q&A】適応障害で退職するときのお金の疑問に答える

最後に、傷病手当金と失業手当の手続きで迷いやすい点をQ&A確認しておきましょう

適応障害で退職したら、すぐ失業手当を受けられますか?

今すぐ働けない場合、基本手当は受けられません。療養中は傷病手当金の条件と受給期間延長を確認しましょう。働ける状態でも、基本手当には通算7日間の待期があり、離職理由によっては給付制限もあります。

退職後も傷病手当金を受けられますか?

退職前の要件を満たし、同じ傷病で働けない状態が続けば、残りの期間は受給できます。勤務先の健康保険に本人として継続1年以上加入し、退職前日までに待期を終え、退職日も病気で働けず勤務していないことなどが必要です。

退職日に有給休暇を取っても傷病手当金の継続給付を受けられますか?

有給休暇で実際に働いていなければ、勤務した扱いにはなりません。ただし、加入期間・待期の完了・退職日の労務不能などの要件も必要です。有給休暇の賃金による支給額の調整は、勤務の有無と分けて確認します。

傷病手当金はいくら受け取れますか?

日額の目安は、標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。手取り給与の3分の2ではありません。計算対象期間が12か月未満の場合や給与・年金との調整がある場合は、加入先へ確認しましょう。

傷病手当金は退職後いつまで受けられますか?

同じ傷病について、在職中を含めた支給対象期間の合計が1年6か月に達するまでです。退職しても期間はリセットされません。また、退職後に一度働ける状態になると、その後に同じ傷病で働けなくなっても再開できません。

基本手当の受給期間延長はいつ申請しますか?

離職後、病気やケガで働けない状態が30日以上続いた日の翌日以降、できるだけ早く管轄ハローワークへ申請します。申請が遅いと給付日数を残して期限を迎えることがあります。郵送や委任状を添えた代理申請も可能です。

健康保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当は同じ制度ですか?

別の制度です。健康保険の「傷病手当金」は、業務外の病気やケガで休業し、十分な給与を受けられないときの給付です。雇用保険の「傷病手当」は、受給資格決定後に15日以上続けて働けなくなった場合などが対象です。

適応障害を理由に退職すると特定理由離職者になりますか?

診断名だけでは決まりません。病気でやむを得ず退職した事情をハローワークが判断します。認められると加入期間の要件や給付制限の扱いが変わる場合があるため、診断書や退職までの経緯が分かる資料を用意しましょう。

終わりに|退職日を決める前に、療養中と回復後のお金を確認する

適応障害などの影響ですぐに働くのが難しい場合は、まず傷病手当金の受給条件を確認しましょう。

退職後も30日以上続けて働けない状態であれば、あらかじめ基本手当の受給期間延長を申請しておくことが大切です

回復して就職できる状態になった後、求職申込みと基本手当の手続きへ進みましょう。

まずは勤務先や加入している健康保険へ、休業日・退職予定日、給与の支払い状況を共有し、退職後も傷病手当金を受けられるかしっかり確認してみてください。
給付の見込みと、保険料・住民税などの支出が分かれば、退職後の生活費を考えやすくなります。

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引用・参考出典

引用・参考出典は、次のとおりです。

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