フランチャイズの開業資金はいくら必要?加盟金・ロイヤリティ・自己資金・融資の考え方

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この記事で分かること

  • 本部資料の開業資金に上乗せすべき費用と、総額を5つの区分で算出する方法
  • 預貯金から事業に充てる自己資金と、借入額・毎月の返済額の決め方
  • 加盟金・ロイヤリティ・「低資金」表示など、契約前に確認すべき条件

「本部資料には開業資金〇〇万円と書いてあるけれど、本当にこれで足りる?」

「足りない分を借りて、きちんと返せるの?」

このように迷ってしまうのは、本部資料に記載された金額が、開業後の生活費や融資返済まで見込んだ額とは限らないからです。

フランチャイズの開業資金は、本部に支払う費用だけで決まるわけではありません。

資料に記載された金額に加えて、物件取得費といった記載外の費用や、開業後の運転資金・当面の生活費まで足した額が、開業後まで資金を持たせるために必要な額です。

そのうえで、預貯金の全額を事業に充てるのではなく、当面の生活費や予備費をあらかじめ手元に残しておきましょう。

借入額についても「借りられる額」ではなく、売上が計画を下回った月でも返済と生活費を無理なくまかなえる金額を基準に決めるのが基本です。

この記事では、ご自身のケースに当てはめられるようにシミュレーションしています。
手元に本部資料と毎月の家計支出が分かるものを用意し、数字を当てはめながら読み進めましょう。

この記事の結論

  • 開業資金は一律ではなく、本部の資料に記載された金額に、資料に含まれない物件取得費や運転資金、生活費を合算した額が必要
  • 預貯金をすべて事業に充てるのではなく、生活費の備えと予備を先に残した残りを自己資金とする
  • 借入額は融資の上限額で決めるのではなく、売上が計画を下回った月でも無理なく返済と生活費を賄える範囲で設定する
  • 加盟金など返還されない支払いは、融資の結果や返還条件を書面で十分に確認してから行う
目次

フランチャイズの開業資金は一律ではない|5つの区分を足して総額を出す

フランチャイズの開業資金に決まった相場はなく、業態や物件を借りるかどうか、立地条件などによって大きく変動します。

自分に必要な金額は、本部資料の数字をそのまま使わず、本章で解説する5つの区分を足し合わせて算出しましょう。

ひとつの目安として、日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。

内訳は250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%を占め、実際に開業した人の約4割は500万円未満に収まっています。

なお、平均値が中央値より高くなっているのは、一部の高額な開業案件が全体を引き上げているためです。

ただし、この調査は2024年4〜9月に日本政策金融公庫から融資を受けた開業後1年以内の企業(不動産賃貸業を除く)を対象としたものであり、フランチャイズ加盟者のみに限定したデータではありません。

そのため、調査の平均額を自分の予算にするのではなく、5つの区分をもとに自分の総額を導き出すことが大切です。

5つの区分の内訳と、それぞれの金額をどこから見積もるかは以下のとおりです。

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区分主な中身見積もり元見落としやすい点
本部に払う加盟時費用加盟金、保証金、研修費、開業支援費など本部資料、開示書面、契約書案返還される費目と返還されない費目が混ざっている
店舗・設備物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料)、内装、設備、看板、車両、備品本部資料、物件や内装の見積書立地や物件の状態によって内装費が大きく変わる
開業準備開業前の家賃、採用・研修期間の人件費、開業時の販促費本部資料、物件契約の条件売上がない期間の支払いが抜けやすい
運転資金開業後、売上が計画に届くまでの固定費・ロイヤリティ・返済の不足分自分で逆算する売上が計画に届くまでの月数で必要額が大きく変わる
生活費と予備事業から家計にお金を回せない期間の生活費、急な出費への予備家計の毎月の支出事業資金と混ぜると、開業後に生活費が足りなくなる

本部資料に記載されている「開業資金」がどの区分まで含まれているかは、本部によって異なります。
まずは資料内の費目をこの5つに分類し、不足している区分を自分で補って計算しましょう。

本部資料の「開業資金」に入っていない場合がある費用

本部資料に記載される開業資金は、加盟金や標準的な内装・設備費など、本部経由で支払う費用を中心に構成されているケースがあります。

その場合、本部資料の提示額に含まれていない可能性がある費用は、

  • 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料など)
  • 立地や物件の状態によって追加でかかる内装・設備費
  • 開業前の家賃、採用・研修期間中の人件費、開業時の販促費
  • 開業後の運転資金
  • 事業から家計へお金を回せない期間の生活費

の5つです。

物件取得費は、選ぶ物件の賃料や契約条件によって決まるため、本部資料には「別途」「物件により異なる」と記載されていることがあります。
まずは本部資料の内訳や注記から「含まれない費用」の記述を確認し、明記されていない項目は本部に問い合わせて書面で回答をもらいましょう。

運転資金と生活費は「売上が計画を下回る月」から逆算する

運転資金は、売上が計画を下回る月に事業の支払いがいくら不足するかを算出し、その不足が続く想定月数分をあらかじめ用意しておきましょう。

生活費についても、事業から家計へお金を回せない期間の支出として、事業資金とは別に持ちましょう。

そもそも運転資金とは、家賃や人件費、仕入れ、ロイヤリティ、借入金の返済など、開業後の支払いに充てるお金のことです。開業直後は計画どおりに売上が立つとは限らないため、不足分をこの資金で補填します。

運転資金と生活費の見積り

運転資金と生活費は、次の計算式で見積もることができます。

低調月の事業の不足額 = 固定費 + ロイヤリティ + 返済額 − 低調月の粗利(売上 − 原価)

運転資金 = 低調月の事業の不足額 × 売上が計画に届くまでの月数 + 予備

生活費 =(家計の毎月の支出 − 事業以外の収入)× 事業から家計にお金を回せない月数

低調な月の売上には、本部が示す収益モデルの数値をそのまま置くのではなく、あらかじめ控えめな金額を設定しておくのがポイントです。

どこまで控えめにするかに明確な基準はありませんが、例えば計画の半分程度と仮定しておけば、開業直後の立ち上がりが遅れた場合にも備えられます。

売り上げが計画に届くまでの期間は余裕を見る

売上が計画に届くまでの月数にも明確な基準はありません。

本部から既存の類似店舗における開業後の売上推移を示してもらい、それよりも長めの期間を設定しておくと見込み違いのリスクを減らせます。

予備は、想定外の修繕費や急な売上の落ち込みに備える上乗せ分として、固定費の1カ月分など自分で決めた額を確保しておきましょう。

また借入金の返済額については、借入額が確定する前は仮の数字を入れておき、自己資金と借入額を決めた後に計算し直しましょう。

仮定例|本部資料の金額に運転資金と生活費を足すと総額はいくらになるか

以下の仮定例では、本部資料に記載された開業資金が800万円であるのに対し、開業後まで資金を持たせるために必要な額は1,330万円にのぼります。

なお、この試算は小規模な店舗型フランチャイズを想定した仮の数値であり、相場や実際の事例ではありません。

この仮定例における前提条件は、

  • 本部資料に記載の開業資金:800万円(本部に支払う加盟金・研修費など250万円、内装・設備費550万円)
  • 家賃:月25万円、家賃・人件費などの固定費:月80万円
  • 原価率:35%、ロイヤリティ:売上の5%
  • 計画月商250万円に対し、開業後6カ月間は月商130万円にとどまる
  • 借入金の返済額:月12.6万円(「自己資金」の章で算出する借入額880万円を、返済期間7年・金利年5.35%で返済する場合)
  • 家計の毎月の支出:25万円(事業以外の収入はなし)

の6項目です。

月商130万円の月は、粗利84.5万円に対して固定費80万円、ロイヤリティ6.5万円、融資返済12.6万円の支払いが発生するため、事業単体で月14.6万円が不足します。

この不足額を約15万円に切り上げ、想定する6カ月分に予備80万円(固定費1カ月分)を加えた170万円を運転資金として計上しています。

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区分この例の金額出し方
本部に払う加盟時費用250万円本部資料の記載
店舗・設備(本部資料の内装・設備)550万円本部資料の記載
店舗・設備(物件取得費)150万円家賃25万円の6カ月分と仮定
開業準備60万円開業前の家賃・研修期間の人件費・販促費の見積もり
運転資金170万円月約15万円×6カ月+予備80万円
事業に必要な額(小計)1,180万円上の5行の合計
生活費150万円家計の支出25万円×6カ月
開業後まで持たせる必要額1,330万円事業に必要な額+生活費
小規模な店舗型を想定した仮定例。相場や実例ではない

本部資料に書かれた800万円と実際の必要額1,330万円との差額530万円は、物件取得費や開業準備費用、運転資金、生活費に該当します。

自分で計画を立てるときは、

  • 検討している本部資料の費目
  • 物件の家賃
  • 低調な月の見込み売上
  • 家計の毎月の支出

の4つを自分の数字に入れ替えて、計算し直しましょう。

業種を買取に絞っている人は、実際の本部資料の金額を区分ごとに整理した具体例と照らし合わせることで、自分の見積もりで抜け落ちている費用項目に気づきやすくなります。

加盟金・保証金・ロイヤリティは「いつ・何に・いくら払うか」で比べる

本部に支払う費用は、開業前に一度だけ支払う初期費用と、開業後に毎月発生する継続費用の2つに分けて比較しましょう。

一度だけ支払う費用は「支払時期」と「返還条件」、毎月支払う費用は「算定方式」と「最低額」が比較の重要なポイントです。

加盟金とは、ブランドや経営ノウハウを利用する権利などの対価として、加盟時に本部へ支払う費用です。

保証金は、契約期間中の支払債務などを担保するために本部に預け入れる金銭で、契約終了時の精算方法は契約内容によって決まります。

ロイヤリティとは、開業後に売上や粗利に応じて、あるいは一定の固定額で本部に継続して支払う費用を指します。

公正取引委員会のフランチャイズに関する考え方では、本部が加盟希望者に対して事前に開示することが望ましい事項として、

  • 加盟金や保証金など、加盟時に支払う金銭の性質、金額、返還の有無と条件
  • ロイヤリティの金額、算定方法、徴収の時期と方法
  • 契約期間、更新の条件、契約解除や中途解約の要件と違約金
  • 本部との決済システムや、本部融資を受ける場合の利率などの諸条件

などが挙げられています。

加盟説明会や個別面談では、これらを書面で開示してもらえるかを確認し、口頭の説明だけで判断しないようにしましょう。

加盟金・保証金・研修費は支払時期と返還条件を書面で確かめる

加盟時に支払う費用が返還されるかどうかは、費目の性質や契約内容によって決まるため、一律に「戻る」「戻らない」とは言い切れません。

費目ごとに、いつ支払うのか、どのような場合に返還されるのかを契約書案でしっかり確認しましょう。

返還条件を事前に確かめておきたい主な場面は、

  • 融資の審査に通らず、開業資金を用意できなかったとき
  • 開業前に自己都合で契約を解約したとき
  • 契約期間が満了したとき、または中途解約したとき

の3つです。

保証金は契約終了時にどの費用を差し引いて返還されるのか、加盟金や研修費は返還されない条件になっていないかを、契約書案の該当条項で確認しましょう。

返還の条件が明記されていない場合は、本部に対して契約書への追記や書面での回答を求めましょう。

返還条件を確認できたら、次に決めるべきは、返還されない支払いをいつ行うかです。
支払期日と融資実行の順番については、後の「加盟契約と融資申込」の章で確かめましょう。

ロイヤリティは算定方式によって売上が少ない月の負担が変わる

ロイヤリティは、定額方式であれば売上が振るわない月でも毎月同額を支払い、売上歩合方式や粗利分配方式であれば売上や粗利に連動して支払額が増減します。

ただし、売上歩合方式であっても最低ロイヤリティの定めがある場合は、売上が少ない月でも規定の下限額を支払う必要があります。

売上歩合方式は「売上×料率」、粗利分配方式は「粗利×料率」で計算します。

次の表は各方式による負担の違いを比較するための試算条件であり、実際の相場を示すものではありません。

先ほどの仮定例と同様に、売上が低調な月の月商130万円と計画どおりの月商250万円、原価率35%という同一条件で比較しています。

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方式(仮定の条件)低調な月(月商130万円)計画どおりの月(月商250万円)
定額方式(月15万円)15万円15万円
売上歩合方式(売上の5%)6.5万円12.5万円
売上歩合方式(5%、最低10万円)10万円12.5万円
粗利分配方式(粗利の10%)約8.5万円約16.3万円
方式の違いを見るための仮定の料率。相場ではない

計画どおりに推移している月は方式による負担差が小さくても、低調な月になると定額方式の負担は売上歩合方式(最低額なし)の2倍以上に膨らみます。

先ほどの仮定例でロイヤリティが定額15万円だった場合、低調な月の資金不足額は約15万円から約23万円へと増加します。

自分の場合は、本部の算定方式(対象となる基準や料率、最低額、広告分担金など毎月別途支払う費用)を計算式に当てはめ、低調な月における本部への支払額を算出して運転資金の計画に使いましょう。

自己資金はいくら必要?|預貯金を全額入れず、残す額を先に決める

事業に入れられる自己資金は、手元の預貯金から当面の生活費や万一のための予備資金をあらかじめ差し引いた残額です。

事業に必要な額と、この自己資金との差が、借入を検討する額になります。

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち自己資金は平均279万円(22.9%)、金融機関等からの借入は平均827万円(67.9%)となっています。

同公庫の創業支援向けQ&Aでも、創業資金総額に対する自己資金の割合は平均2割程度とされていますが、それ以上に創業計画全体がしっかりと練られているかどうかが重要であると示されています。

ただし、この平均割合は審査の合否基準ではなく、「2割あれば借りられる」「2割ないと借りられない」といった足切りラインでもありません。

自己資金の目安は比率から逆算するのではなく、手元に残す額から決めましょう。

事業に入れられる自己資金の出し方

事業に入れる自己資金と、借入を検討する額は、次の2つの式で算出できます。

事業に入れる自己資金 = 預貯金 − 生活費の備え − 家計の予備資金

借入を検討する額 = 事業に必要な額 − 事業に入れる自己資金

生活費の備えを算出する際は、運転資金の計算で算出した生活費と同じ金額を用い、二重に数えないようにしましょう。

一方の家計の予備資金は、家族の急な病気や医療費などの突発的な出費に備えて手を付けずに残しておくお金であり、決まった金額の基準はありません。

先の仮定例に当てはめると、預貯金500万円から生活費の備え150万円と家計の予備50万円(仮定)を残すため、事業に入れる自己資金は300万円になります。

事業に必要な額1,180万円からこの300万円を差し引いた880万円が、借入を検討する額となります。

もし預貯金500万円を全額事業に投入すれば、借入を検討する額は680万円まで抑えられます。

ただしその場合、開業後に売上が思うように伸びない月が続くと、生活費を新たな借入などで補うことになります。

自分の場合は、預貯金残高や毎月の生活費、確保しておきたい月数を踏まえて計算し、教育費や住宅ローンの返済など近い将来に予定されている支出がある方は、予備資金をより手厚く残しておきましょう。

自己資金が少ないと、借入額と毎月の返済が増える

自己資金が少なくても融資を申し込むこと自体は可能ですが、借入額と毎月の返済負担が増えるため、売上が少ない時期の資金繰りが一段と厳しくなります。

先の仮定例で事業に入れる自己資金が300万円から150万円へと減った場合、借入を検討する額は880万円から1,030万円へと増加します。

返済期間7年・金利年5.35%の元利均等返済で比較すると、毎月の返済額は約12.6万円から約14.7万円へと増えてしまいます。

また、融資は創業計画全体をもとに審査されるため、希望額を下回ったり、融資を受けられなかったりする場合もあります。

なかには、自己資金の金額や割合そのものを申込要件として定めている制度もあります。

たとえば、法人を設立して経営者の個人保証なしで借りるための信用保証制度(スタートアップ創出促進保証)では、税務申告を1期終えていない創業者に対し、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を求めています。

自治体の制度融資にも自己資金要件が設けられている場合があり、たとえば大阪府の「開業・スタートアップ応援資金」では、事業開始前または税務申告を1期終えていない方に対し、事業開始に必要な資金の10分の1以上の自己資金を求めています。

借入を検討する額を決める前に、利用を検討している制度の要件をしっかり確認しておきましょう。

借入を検討する額が固まったら、次はどの調達先から借り入れるかを比較・検討していきましょう。

不足分の調達先を比べる|公庫・制度融資・民間・本部提携・補助金

返済が必要な資金を調達する際は、日本政策金融公庫と自治体の制度融資を軸に検討し、フランチャイズ本部の提携ローンやリース、民間金融機関からの融資も同じ比較の軸で並べて比較しましょう。

なお、補助金は原則として後払いとなるため、開業当初の支払いには充てられません。

主な調達手段を同じ基準で比較すると、次のようになります。

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調達手段主な対象限度額・返済期間利率・保証料担保・保証人注意点
日本政策金融公庫新たに事業を始める人、開業後おおむね7年以内の人7,200万円まで。設備資金20年以内、運転資金10年以内(据置期間5年以内)無担保・税務申告2期未了の基準利率は年3.75〜5.35%創業期は原則無担保・無保証人審査は平均3週間程度
自治体の制度融資(東京都の例)都内で創業する人など3,500万円まで。運転資金7年以内、設備資金10年以内(据置期間1年以内)固定金利で、返済期間などに応じた上限がある(年2.15〜2.85%以内)。別に信用保証料がかかる(3分の2を都が補助)信用保証協会の保証が付く。担保は原則不要、保証人が必要な場合がある条件は自治体ごとに違う
スタートアップ創出促進保証法人向けの信用保証。これから法人を設立する人、創業後5年未満の法人など保証限度額3,500万円。保証期間10年以内(据置期間1年以内、条件により3年以内)金利は金融機関が決める。保証料は創業関連保証の料率に0.2%上乗せ担保・保証人は不要個人事業のままの開業は対象外
民間金融機関の融資金融機関の審査による金融機関ごとに決まる金融機関ごとに決まる金融機関ごとに決まる事業計画をもとに個別に判断される
本部の提携ローン・リース本部が紹介する金融機関・リース会社による契約ごとに決まる契約ごとに決まる連帯保証を求められる場合がある中途解約・閉店時の残債の扱いを確認する
補助金公募要領の要件を満たす事業者公募回ごとに決まる原則として返済は不要なし原則後払いで、採択されるとは限らない
公庫・東京都・スタートアップ創出促進保証の条件は2026年9月28日時点。公庫の利率は令和8年9月1日現在で、返済期間などにより異なる

日本政策金融公庫と制度融資は、金利や返済期間の条件が公表されており比較しやすい点がメリットです。

ただし、表にある東京都の利率は上限値であり、別途自己負担となる信用保証料もかかるため、表面上の金利だけで公庫とどちらの負担が軽いかは判断できません。

まずは事業所を置く予定の自治体に創業向け制度融資があるかを調べ、公庫と合わせた2つに候補を絞ってから相談先を検討しましょう。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方や開業後おおむね7年以内の方が設備資金や運転資金を借り入れられる制度です。

融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金が最長20年、運転資金が最長10年(いずれも据置期間は最長5年)となっています。

据置期間とは、元金の返済を行わず利息のみを支払う期間のことです。開業直後の返済負担を抑えられるメリットがある一方で、据置期間終了後は残りの期間で元金を返済していくため、据置期間を設定しない場合と比べて毎月の返済額は増えることになります。

新たに事業を始める方や、創業後で税務申告を2期終えていない方であれば、原則として無担保・無保証人で利用できます。

この場合の基準利率は年3.75〜5.35%(令和8年9月1日現在)で、返済期間などの条件によって変わります。

また、女性の方や35歳未満・55歳以上の方、市区町村の創業セミナーなど(特定創業支援等事業)を受講して証明書を取得した方などは、より低金利な特別利率の対象となる場合があります。

審査にかかる期間は平均3週間程度ですが、融資条件によっては長くなります。
公庫の支店窓口などで創業相談を行う際は、事前に算出した必要資金・自己資金・借入を検討する額を「創業計画書」に記入して持参し、特別利率の要件に該当するかどうかも併せて確認しておきましょう。

自治体の制度融資と信用保証協会の保証

制度融資は、自治体・信用保証協会・金融機関の3者が連携して提供する融資であり、具体的な融資条件は自治体ごとに異なります。

信用保証協会とは、事業者が金融機関から借入を行う際に公的な保証人となる機関です。

保証を受けるには信用保証協会の審査が必要で、保証が付くことで融資を受けやすくなる半面、信用保証料がかかります。

なお、自治体によってはこの保証料の一部を補助しています。

たとえば東京都の創業向け制度融資「創業」では、融資限度額が3,500万円で、返済期間は運転資金が最長7年、設備資金が最長10年(ともに据置期間は最長1年)です。

また、信用保証料の3分の2は東京都が補助してくれます。

自治体の制度融資については、公式ウェブサイトや相談窓口で、

  • 限度額
  • 返済期間
  • 上限金利
  • 保証料の補助
  • 自己資金などの要件

の5つを確かめましょう。

そのうえで公庫の条件と並べて比較し、毎月の返済額と自己負担となる信用保証料を足した支払総額で比べると、希望する借入額に対してどちらが適しているかを判断しやすくなります。

法人を設立して開業する場合は、経営者本人の個人保証を付けずに金融機関から借り入れられる信用保証制度(スタートアップ創出促進保証)も選択肢に入ります。

対象となるのは、これから法人を設立して事業を始める具体的な計画がある方や、創業後5年未満の法人などであり、個人事業主のまま開業する場合は対象外となります。

個人保証が不要となる一方で、保証料率は信用保証協会ごとの創業関連保証料率に0.2%が上乗せされるほか、会社設立から3年目と5年目には中小企業活性化協議会によるガバナンスチェックを受ける必要があります。
個人事業でスタートするか法人を設立するかを決める前に、取引予定の金融機関や最寄りの信用保証協会で、利用可能な保証制度と保証料を確認しておきましょう。

本部提携ローン・リース・民間金融機関は、条件を同じ軸で並べる

フランチャイズ本部が紹介する提携ローンやリースは、本部側で手続きをサポートしてくれるためスムーズに進めやすい場合がありますが、公庫や制度融資と同じ軸で条件を並べてから選びましょう。

民間金融機関からの直接融資も事業計画をもとに個別に判断されるため、提示された条件を書面で受け取って慎重に比較検討しましょう。

本部提携ローンやリースを比較する際の主なチェックポイントは、

  • 金利タイプ(固定か変動か)と返済期間
  • 保証人や連帯保証の要否
  • 中途解約や閉店時の残債の取り扱い
  • リースの場合は、契約期間と総支払額

の4つです。

設備などのリース契約(ファイナンス・リース)は原則として中途解約ができず、店舗の閉店などで解約する場合には、残りのリース料やそれに相当する違約金を一括で支払わなければなりません。
また連帯保証が付いていると、事業がうまくいかなかった場合の支払い義務が個人にも及ぶため、金利や月額費用の安さだけで選ばず、万一閉店した場合にどれだけの支払いが残るかまでしっかり確認しておきましょう。

補助金は後払いのため、開業時の支払いには充てない

補助金は原則として後払い(精算払い)であり、実際に事業を行って経費を支払った後、実績報告と検査を経てから交付されます。

そのため、開業時に必要な支払いは自己資金や融資でまかない、補助金は「後から入る可能性があるお金」として当初の資金計画からは切り離して考えておきましょう。

また、補助金は申請すれば必ず受給できるわけではなく、事前の審査で採択されない場合もあります。

採択された後も、正式な交付申請を行って「交付決定」を受けてから事業(発注や契約など)を開始するのが原則であり、この手続きには通常数か月かかります。

交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費は、補助の対象にならない場合があります。

さらに、補助の対象となる経費項目や補助率、上限額は補助金ごとに定められており、開業にかかる費用の全額が補助されるわけではありません。

たとえば小規模事業者持続化補助金には、新しく創業した小規模事業者向けの「創業型」が用意されています。

これを利用するには、市区町村などが行う「特定創業支援等事業」による支援を受けた日と開業日(法人の場合は設立日)が、いずれも公募締切日から過去1年以内にあることが要件となります。

この特定創業支援等事業の支援を受けて市区町村から証明書を取得しておくと、公庫融資で優遇金利(特別利率)が適用される場合もあります。

活用できる補助金がある場合は、事前に公募要領を確認し、対象経費の範囲や交付決定の時期をしっかり確かめておきましょう。

開業準備の予定には、

  • 特定創業支援等事業を受ける時期
  • 公募の締切
  • 交付決定の前に発注しない日程

の3つを組み込んでおきましょう。

日程のずれによって要件を満たせなくなったり、経費が補助対象外になったりするのを防ぎやすくなります。

借入額は「借りられる額」ではなく「売上が少ない月でも返せる額」で決める

借入額は融資の限度額を基準にするのではなく、売上が計画を下回った月でも返済と生活費を無理なく支払える金額で決めましょう。

融資制度の上限額はあくまで制度上の枠にすぎず、自分が安全に返済できる金額を示しているわけではありません。

借入を検討している金額について、金利や返済期間ごとの毎月の返済額を把握し、売上が落ち込んだ月の収支でも返済を続けられるかを次の2つの試算で確かめておきましょう。

借入額と返済期間ごとの毎月返済額

仮定例の借入を検討する額880万円を返す場合、毎月の返済額は5年返済で約16〜17万円、7年返済で約12〜13万円、10年返済で約9〜10万円となります。

元利均等返済とは元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定になる返済方式のことで、下記の表は据置期間を設けない場合の試算です。

金利は、日本政策金融公庫の「無担保・税務申告2期未了」における基準利率(年3.75〜5.35%、令和8年9月1日現在)の下限と上限を採用し、年5.35%を高金利側のケースとして並べています。

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返済期間毎月の返済(年3.75%)毎月の返済(年5.35%)総返済額(年3.75%)総返済額(年5.35%)
5年約16.1万円約16.7万円約966万円約1,005万円
7年約11.9万円約12.6万円約1,002万円約1,057万円
10年約8.8万円約9.5万円約1,057万円約1,138万円
借入880万円・元利均等返済・据置期間なしの仮定による試算。毎月の返済は千円単位、総返済額は万円単位で四捨五入

返済期間を5年から10年に延ばすと毎月の返済額は約7万円軽くなりますが、年5.35%の場合、総返済額は約133万円も増えてしまいます。

また高めの金利が適用された場合、7年返済でも毎月約7千円、総額で約55万円の負担増となります。

据置期間を設ければ開業当初の負担は抑えられますが、据置期間終了後は表の金額よりも毎月の返済額が増加します。

実際の借入利率は、審査結果や返済期間、担保の有無などによって決まります。

借入を検討する額や返済期間の組み合わせを変えながら、利率の上限が適用された場合でも無理なく返済できる水準かをしっかり計算し直しておきましょう。

自分の条件で計算するときは、日本政策金融公庫の「返済シミュレーション(事業資金用)」で、

  • 借入額
  • 返済方式(元利均等・元金均等)
  • 返済期間
  • 据置期間
  • 金利

の5つを入れて試算できます。

据置期間を利用する予定がある場合は、据置終了後の毎月の返済額も算出して問題なく支払えるか確認しておきましょう。

なお、試算結果はあくまで目安であり、実際の返済額は借入日や適用金利などによって変動します。

売上が計画を下回った月でも、返済と生活費をまかなえるか確かめる

借入額を決定する前に、「低調」「計画どおり」「好調」の3パターンの月商で月間収支を算出し、売上が低調な時期の資金不足を運転資金や生活費の備えで何カ月カバーできるかを確かめておきましょう。

生活費(家計)まで含めて赤字を出さないために必要な月商は、以下の計算式で求められます。

家計込みの必要月商 =(固定費 + 返済額 + 家計に回す額)÷(1 − 原価率 − ロイヤリティの料率)

次の表は、仮定例と同じ固定費80万円、原価率35%、ロイヤリティ5%(売上対比)、返済額12.6万円(7年・年5.35%)、家計に回す額25万円という条件のもと、月商のみを変動させた試算です。

スクロールできます
項目低調(月商130万円)計画どおり(月商250万円)好調(月商300万円)
売上から原価とロイヤリティを引いた額78万円150万円180万円
固定費80万円80万円80万円
返済12.6万円12.6万円12.6万円
事業の手残り−14.6万円57.4万円87.4万円
家計に回す25万円を引いた後−39.6万円32.4万円62.4万円
仮定の数字による月間収支の試算。売上や利益を保証するものではない

この前提条件では、家計まで含めて収支が赤字にならない必要月商は約196万円となり、目標計画である250万円の約8割に相当します。

仮に低調な月商130万円が6カ月間続いた場合、事業資金の不足は約88万円、家計の不足は150万円となり、仮定例で用意した運転資金170万円と生活費150万円の範囲内に収まります。

一方、低調な期間が9カ月まで延びてしまうと、事業の不足累計は約131万円で運転資金の範囲内に収まるものの、家計の不足は225万円に達し、生活費の備えが75万円不足してしまいます。

このように、事業と家計のどちらの資金が先に底をつくかは「備えの額÷毎月の不足額」で分かります。

仮定例では、運転資金170万円は月14.6万円の赤字を約11カ月カバーできるのに対し、生活費150万円は毎月25万円の家計支出があると6カ月分しか持ちません。

先に尽きるのが家計側であるなら、生活費の備えを厚くするか、家族の収入など事業以外の収入源をあらかじめ見込めるかを確認しておきましょう。

家計を含めた必要月商が本部の収益モデルの売上に近すぎる場合や、売上の低調な期間が少し延びるだけで資金がショートしてしまうような場合は、借入額や開業資金の総額、あるいは開業時期のいずれかを見直しましょう。

「低資金で開業できる」表示は、含まれていない費用を確かめてから比べる

店舗を持たない無店舗型や自宅で開業できる業態など、初期費用を低く抑えられるフランチャイズ本部はあります。

ただし、提示されている開業資金の内訳は本部ごとに異なるため、表示金額に含まれていない費用を洗い出して合算し、他の本部と同じ条件で比べましょう。

「低資金」「開業資金〇万円〜」といった表示金額に含まれていないことがある費用は、

  • 研修費・開業支援費
  • 保証金
  • 車両・備品・専用の機材
  • 開業後の運転資金
  • 最低ロイヤリティなど、売上が少なくても毎月かかる費用

の5つです。

たとえ初期費用が低くても、毎月一定額を本部に支払う契約であれば、売上が伸び悩んだ月の負担は残ります。

提示された金額にこれらの費用を足し、最初の章で解説した5つの区分に沿って総額を算出し直すことで、店舗型の本部とも同じ条件で比較できるようになります。

「月収〇万円」「〇カ月で回収」といった収益の目安が示されている場合は、どのような店舗の実績に基づいた数字なのかを本部に確認しましょう。

公正取引委員会のフランチャイズに関する考え方でも、本部が予想売上や予想収益を示す際には、類似店舗の実績など根拠のある客観的な事実に基づくことが求められています。

業種ごとの初期費用や運営コストの負担を比較したい場合は、@nextの「一人でできるフランチャイズはある?小規模・少人数で始めやすい業種を比較」で確認できます。

加盟契約と融資申込は、支払いと融資実行の順番をそろえる

返金されない費用の支払いは、融資の審査結果が出てから行うようにしましょう。

日本政策金融公庫の審査には平均3週間ほどかかるため、加盟契約や物件契約の支払期日から逆算して融資を申し込みましょう。

飲食業を含む小売業のフランチャイズで、本部が加盟店へ商品を継続して販売・あっせんするなど、中小小売商業振興法の要件に該当する事業は「特定連鎖化事業」と呼ばれます。

特定連鎖化事業の本部には、契約を結ぶ前に、法律で定められた重要事項を記載した書面(法定開示書面)を加盟希望者へ交付し、説明する義務があります。

商品の供給が契約条件に含まれない飲食店や、小売・飲食以外の業種など、この要件に当てはまらないフランチャイズもあります。

ただしその場合でも、公正取引委員会の考え方では、重要事項を契約前に書面で開示することが望ましいとされています。

そのため、法定開示書面に相当する資料が提示されないときは、本部に書面での説明を求めましょう。

加盟申し込みから開業までの流れと、それぞれの段階で確認すべきポイントは次の4点です。

STEP
加盟申込・申込金を払う前

開示書面やそれに相当する資料、契約書案を事前に受け取りましょう。

加盟金・保証金・研修費の返還条件やロイヤリティの算定方法、中途解約の規定などを確かめましょう。

申込金の支払いを求められる場合は、もし融資が通らなかった際に返金されるかどうかを書面で確認してください。

STEP
融資を申し込む前

必要な資金総額や自己資金、借入を検討する額を創業計画書にまとめましょう。

売上が伸び悩む低調な月の収支も試算し、無理なく返済できる借入額であることを確認したうえで申し込んでください。

STEP
加盟契約・物件契約の前

融資の審査結果を確認してから契約を結ぶようにしましょう。

もし結果が出る前に契約を進めなければならない場合は、融資が否決されたときに契約を解除でき、支払った費用が返金される条項があるかを確かめてください。

STEP
開業の前

融資が実行される日と、加盟金や内装費などの支払期日の前後関係を把握しておきましょう。

支払いが融資実行より先行する場合は、自己資金から充てる費目と融資実行後に支払う費目を整理し、手元の運転資金が目減りしすぎないようコントロールしてください。

「今月中に申し込まないと募集が締め切られる」などと契約を急かされた場合でも、融資の結果と返還条件を確認できるまでは、戻ってこない費用の支払いは保留にしましょう。

返還条件や収益の根拠を書面で提示してもらえない場合は、契約を見送る判断材料になります。

契約条項の意味がよく分からないときは、署名・押印する前に、契約書案と開示書面を持って弁護士などの専門家に相談しましょう。

資金計画で前向きに進めやすい人・計画を見直したい人

開業を前向きに進めてよいか、それとも計画を見直すべきかは、ここまでの資金計算や本部への確認を、具体的な数字と書面で完了できているかで分かれます。

総額と低調時の返済まで数字で確かめられた人は前向きに検討できる

  • 本部資料の費目を5つの区分に整理し、不足していた項目も加えたうえで必要額を算出できている
  • 預貯金から生活費の備えと予備資金をしっかり残したうえで、事業に充てる金額を決められている
  • 売上が伸び悩む期間が続いても、運転資金や生活費の備えで乗り切れる計算になっている
  • 加盟金などの支払時期や返還条件について、書面できちんと確認できている

これらを満たせているなら、本部の研修や開業支援を十分に生かせる資金的な土台ができています。
公庫や制度融資の相談窓口、本部の説明会などで残りの条件も確かめつつ、前向きに検討を進めましょう。

預貯金をほぼ使い切る人・低調時に返済が続かない人は計画を見直す

  • 預貯金をほぼ全額つぎ込まなければ必要額に届かない
  • 売上の低迷が数カ月続くと、運転資金や生活費が底をついてしまう
  • 返還条件や収益モデルの算出根拠を、本部から書面で提示してもらえない
  • 後から入金される補助金を、開業時の支払いに充てる計画になっている

当てはまる項目がある場合は、業態や物件を見直して総額を下げるか、借入額を減らすか、開業時期を延期して自己資金を蓄えるかを決め、資金計画を計算し直しましょう。

【Q&A】フランチャイズの開業資金でよくある疑問

最後に、融資が通らなかった場合の加盟金の扱いや、自己資金・運転資金の目安など、判断に迷いやすいポイントをQ&A形式で整理します。

融資が通らなかったら、加盟金などの支払いは戻りますか?

支払った費用が戻るかどうかは費目や契約書の返還規定によって異なるため、一律に「戻る」「戻らない」とは言えません。

そのため、返還されない性質の費用については、融資の審査結果が出てから支払うようにしましょう。

もし融資結果が出る前に申込金の支払いや契約を求められる場合は、融資が否決された際に契約を解除でき、支払った費用が返金される条項が含まれているかを、契約書案などの書面で確認してください。

自己資金が少なくても、融資を受けてフランチャイズを開業できますか?

自己資金が少なくても融資の申し込み自体は可能ですが、借入額や毎月の返済負担が重くなり、売上が伸び悩んだ月の資金繰りが厳しくなります。

融資は創業計画全体を総合的に見て審査されるため、希望額を下回る融資額になったり、融資そのものが受けられなかったりすることもあります。
創業資金に占める自己資金の割合は平均で2割程度とされていますが、「2割あれば借りられる」といった一律の審査基準があるわけではありません。

一方で、大阪府の「開業・スタートアップ応援資金」のように、事業開始前や税務申告を1期終えていない方を対象に、事業開始に必要な資金の10分の1以上の自己資金を求める制度融資もあります。
利用を検討している制度の申請要件は、借入額を決める前の段階で確認しておきましょう。

運転資金と生活費は、何カ月分を用意すればよいですか?

何カ月分用意すべきという一律の基準はないため、売上が計画どおりの水準に達するまでにかかる月数から逆算して決めましょう。

想定する月数は、本部に類似店舗の開業後の売上推移を示してもらい、その実績よりも長めに設定しておくと見込み違いの事態にも備えられます。
また生活費は、事業から家計にお金を回せない期間を見越し、事業資金とは明確に分けて確保しておきましょう。

用意した金額で十分かどうかは、「備えの額÷毎月の不足額」をもとに何カ月持ちこたえられるかを算出し、運転資金と生活費のどちらが先に底をつくかシミュレーションして確認しておきましょう。

終わりに|開業できる金額ではなく、開業後も続けられる金額で決める

フランチャイズの開業資金を検討する際は、本部資料に記載された金額だけでなく、物件取得費や開業準備、運転資金、生活費まで含め、開業後まで資金が持つかで考えましょう。

生活費の備えを残してから自己資金を決め、売上が落ち込んだ月でも返済と生活費を無理なく賄える範囲に借入額を抑えることが、加盟後の資金ショートを防ぐ基本となります。

まずは本部資料の費用項目を5つの区分に整理して必要な資金を算出し、売上が低調な場合を想定して月々の収支をシミュレーションしてみましょう。
そのうえで、創業計画書を作成して公庫や自治体の制度融資の窓口へ相談し、本部とも返還条件や支払期日を書面で確かめてから契約へ進みましょう。

引用・参考出典

引用・参考出典は、次のとおりです。

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