飲食店の資金繰りが苦しいときは?不足日・不足額の出し方と改善・相談の順番

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この記事で分かること

  • 次の支払日までに、いつ・いくら現金が不足するかを計算する方法
  • 客数・客単価・仕入・廃棄・人件費・家賃・入金日のどこに原因があるか調べる方法
  • 一時的な入金待ち、営業収支の不足、返済負担を分けて次の行動を決める方法

売上があるのに、仕入代金や給与、家賃の支払いへ回す現金が足りないことがあります。

支払日が近いほど、融資や早期入金など、すぐに資金を用意する方法を探したくなるでしょう。

結論、最初に行うのは資金調達先の比較ではありません

次の確定入金までの入出金を日付順に並べ資金が初めてマイナスになる日と、対象期間内で最も大きく不足する金額を確定しましょう。

確定入金後に残高が戻るなら、主な問題は入金日と支払日の時期差です。

入金後も現金が減るなら、客数・客単価・仕入・人件費などの営業収支、または既存借入の返済負担を分けて考える必要があります。

まずは、帳簿上の利益ではなく、実際に支払いへ使える現金・預金を基準に確認しましょう。

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この記事の結論

  • 飲食店の資金繰りが苦しいときは、融資先を探す前に、次の確定入金までの日付別残高から不足日と不足額を確定しましょう。
  • 確定入金後に残高が戻るか、通常営業でも減り続けるか、返済後だけ不足するかを確認し、時期差・営業収支・返済負担を分けましょう。
  • 改善策と期日変更を日付別表へ反映し、悪化ケースでも支払いを維持できる場合だけ資金調達を検討し、複数の支払い不足があれば相談を先に進めましょう。
目次

飲食店の資金繰りが苦しいときは不足日と不足額を先に出す

資金繰りが苦しいと感じたら月末の売上予測より先に、支払日ごとの終了残高を作りましょう。

資金繰りで中心になるのは、請求済みの売上や帳簿上の利益ではなく、その日に支払いへ使える現金・預金です。

利益が出ていても、売上代金が入る前に仕入・給与・家賃を支払えば、口座残高は不足します。
在庫や売掛金が増えた場合も、利益と現金の動きは一致しません。

口座残高ではなく支払日ごとの終了残高を並べる

現在の口座残高が支払額を上回っていても、その前に別の引き落としがあれば資金不足になります。

反対に、残高が少なくても、支払日前の入金日と金額が確定していれば間に合う場合があります。

各日の終了残高 = 前日の終了残高 + その日の確定入金 - その日の確定支払い

最初に、次の資料から日付金額を拾いましょう。

売上予測ではなく、管理画面・請求書・契約書などで確認できる金額を優先しましょう

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確認する資料拾う情報確定値として扱う条件
銀行口座・手元現金現在利用できる残高自由に支払いへ使える金額である
キャッシュレス・デリバリー管理画面次回入金日、控除後の振込予定額入金日と振込予定額が表示されている
仕入先の請求書支払日、請求額請求内容と支払期日が確定している
給与台帳・勤怠給与支給日、支給見込額対象者と支給額を確認できる
賃貸借・リース契約家賃、共益費、機器代、支払日契約上の金額と期日が決まっている
税金・社会保険・借入返済予定納付日、返済日、金額納付書や返済予定表で確認できる

口座が複数ある場合は、店舗で使える口座を合算しましょう。
ただし、借入の担保になっている預金や、支払いへ自由に使えない資金は除きましょう。

不足日は最初のマイナス日、不足額は期間内最低残高で出す

不足日不足額は同じではありません。

不足日は終了残高が初めて0円を下回る日です。

不足額は、対象期間内の最低終了残高が0円を下回る場合に、そのマイナス額をプラスへ直した金額です。

最低終了残高が0円以上なら、不足額は0円です。

不足日 = 終了残高が初めて0円未満になる日

不足額 = max(0円、-対象期間内の最低終了残高)

次の確定入金後も終了残高が0円未満なら、そこで計算を止めず、残高が0円以上へ戻る日、または13週間などの計画期間まで入出金を延長して不足額を出しましょう。

以下は、現在の現預金が80万円ある飲食店の仮定例です。

将来の通常売上は含めず、日付と金額を確認できる入出金だけを置いています。

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日付内容入金支払い終了残高
現在現預金残高80万円
9月3日キャッシュレス売上の振込35万円115万円
9月5日仕入代金25万円90万円
9月10日給与55万円35万円
9月12日店舗家賃30万円5万円
9月15日税金・借入返済20万円▲15万円
9月18日追加の仕入代金10万円▲25万円
9月20日確定済みの売上入金40万円15万円
金額は表の読み方を示す仮定例です。実在店舗の平均額や推奨額ではありません。

この例の不足日は9月15日ですが、不足額は15万円ではなく25万円です。
9月15日だけを見て15万円を用意しても、9月18日の支払いで再び10万円足りなくなります。
次の確定入金日まで終了残高を追い、最低残高を基準にしましょう。

確定入金と売上予測を分けて管理する

予約や通常営業の売上予測を確定入金へ混ぜると、不足日を遅く見積もる原因になります。

緊急時の不足額は確定値で出し、その後に基準ケースと悪化ケースを重ねましょう

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区分入れる金額使い方
確定入金入金日と控除後金額を管理画面・契約書等で確認できる金額直近の不足日・不足額の計算に使う
基準ケース直近の同曜日、予約状況、客数・客単価をもとに置く予測通常条件で13週間持つかを見る
悪化ケース予約減、客単価低下、仕入値上げ、入金遅延等を反映した予測条件が悪化した場合の不足時期を見る
確定支払い請求書、給与、家賃、税金、返済予定で確認できる金額支払日ごとの終了残高へ必ず入れる

売上予測は資金繰り表から外すのではなく、確定値と列を分けましょう。
どの予測が外れると残高がマイナスになるかを確認するために使いましょう。

売上があるのに現金が足りない原因を飲食店の数字から調べる

不足日と不足額を出したら、現金不足を生んでいる項目を特定しましょう。

飲食店では、売上額だけでなく、客数・客単価・仕入・廃棄・人件費・家賃・決済入金日・返済が組み合わさって残高が動きます。

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原因候補確認する数字資金不足のサイン最初の確認
売上客数、客単価、時間帯別売上客数または客単価が計画を下回る日別・曜日別に分ける
仕入・在庫仕入額、発注量、在庫量、支払日売上になる前に支払いが増える納品量と販売量をつなぐ
廃棄廃棄数量、廃棄原価、仕込み量売上にならない仕入が増える商品・曜日・時間帯で記録する
人件費シフト時間、残業、給与支給額売上減少後も勤務時間が変わらない売上が弱い時間帯を見る
家賃・固定費家賃、リース、システム、光熱費売上に関係なく同額が出ていく契約期間と解約条件を分ける
入金時期現金比率、決済別入金日、控除額売上発生から入金までに支払いが来る管理画面で次回入金を確認する
返済・税金元本返済、利息、納税、社会保険営業後に残った現金を大きく減らす営業収支と分けて見る

客数と客単価から売上不足を分ける

売上が落ちている場合は、総額だけでなく客数客単価へ分けましょう。

原因が違えば、支払日前にできる対応も変わります。

売上 = 客数 × 客単価

客数が減っているなら、曜日・時間帯・予約・来店経路のどこで減ったかを確認しましょう

客単価が下がっているなら、注文点数、ドリンク注文、メニュー構成、値引きの影響を見ましょう。

売上が同程度なのに現金だけ減る場合は、仕入・廃棄・人件費・入金日・返済へ原因を移して確認しましょう。

仕入・在庫・廃棄を同じ期間で確認する

仕入は、食材を使い切った日ではなく、仕入先へ支払った日に現金が出ていきます。

売上になる前に発注量を増やしたり、在庫や廃棄が増えたりすると、利益が出ていても現金は減ります

仕入金額、仕入数量、食材ごとの単価、期首・期末在庫、廃棄数量、支払日を同じ期間で並べましょう。

原価率だけで高い・低いを判断せず、仕入代金を払う日と売上金が入る日までつなげましょう。

人件費・家賃と借入返済を分ける

人件費や家賃は、売上に合わせて動かせる支出と、短期では動かせない支出へ分けましょう。

さらに、店舗営業の支出と借入返済を分けると、営業不足型か債務負担型かを判断しやすくなります。

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支出短期で確認すること見落としやすい点
アルバイト人件費売上が弱い曜日・時間帯のシフト、残業、重複配置人員削減で提供速度や売上まで落ちないか
正社員給与給与支給日、社会保険料を含めた支出時期給与額と会社負担額を混同しない
家賃・共益費支払日、更新時期、契約条件直近で動かせる費用とは限らない
リース・月額契約契約期間、解約条件、未使用サービス解約申請と実際の支払停止日は異なる
水道光熱費請求期間、季節変動、設備ごとの使用量請求月と利用月がずれる
借入返済元本、利息、返済日、残存期間営業収支が黒字でも返済後に不足する場合がある

現金・キャッシュレス・デリバリーの入金日を分ける

現金売上は当日に手元へ入りますが、キャッシュレスやデリバリーの売上は、売上日と銀行口座への入金日が異なります。

さらに、同じサービスでも登録銀行、利用アプリ、手動・自動設定で入金サイクルが変わります

2026年8月28日時点の主な公式案内は次のとおりです。自店の契約条件は加盟店管理画面で確認しましょう。

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サービス公式案内の入金例条件による違い自店で確認する場所
PayPay通常は当月末締め。PayPay銀行は翌日、ゆうちょ銀行は4営業日後、その他は翌々営業日早期振込は別途設定・利用料等が必要PayPay for Businessの入金サイクル・入金履歴
Square三井住友銀行・みずほ銀行は翌営業日。その他は水曜締め・同週金曜入金即時入金サービスは入金額の1.5%Square データの残高・振込予定
Airペイみずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行は月6回、その他の金融機関は月3回Airペイ QRアプリやオンライン決済は別サイクル管理画面の振込一覧・振込カレンダー
STORES 決済手動入金は振込依頼後1〜2営業日。自動入金は月末締め・翌月20日手動入金は操作が必要。10万円未満は振込手数料200円STORESの入金設定・振込依頼画面
入金サイクルは2026年8月28日時点です。実際の入金日は、金融機関休業日、契約、設定、取消・返金等で変わります。

売上額をそのまま入金額へ置かない点も重要です。
決済手数料、返金、取消、相殺などを反映した控除後の振込予定額を資金繰り表へ入れましょう。

確定入金後の残高で資金不足を4つに分ける

現金が不足していても、原因によって取るべき行動は異なります。

確定入金後の残高店舗営業だけの入出金借入返済後の残高支払い遅延の有無を順に見ましょう。

以下の4分類は、法律や公的制度で定められた正式名称ではありません。
入金後の残高と返済負担から次の行動を整理するための区分です。

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状態判定条件主な問題最優先の行動資金調達の扱い
時期差型入金前は不足するが、確定入金後と、その後の通常営業の見通しで残高が回復する入金日と支払日のずれ、必要最低残高の不足次回入金日・控除後金額・必要最低残高を確定し、入金サイクルと支払日を見直す残る短期不足だけを必要最小限で検討する
営業不足型一時的な大型支払いを除いても、通常営業の入金が仕入・人件費・家賃等の営業支出を継続的に下回る客数・客単価・仕入・廃棄・人件費・固定費各項目を同じ期間で見直し、営業収支の改善と早期相談を進める返済原資ができるまで新規借入を中心にしない
債務負担型返済前は現金が残るが、返済後に不足する既存借入の元本返済・利息負担借入一覧を作り、次回返済日前に現在の金融機関へ相談する新規借入だけで既存返済を回さない
緊急相談型複数の支払いが不足する、既に遅延がある、確定入金が見えない単独施策では埋まらない資金不足支払先・金融機関・公的窓口へ問題別に連絡する商品比較より相談を先にする

時期差型と営業不足型は入金後の残高で分かれる

確定入金後に残高が戻り、その後の通常営業でも次の給与・家賃まで持つなら、主な問題は時期差です。

毎月同じ時期に不足する場合は、入金後の資金を使い切らず、次回まで残す必要最低残高を決めましょう

確定入金後も週ごとに現金が減るなら、入金サイクルだけでは解決しません。
客数・客単価・仕入・廃棄・人件費・固定費を見直し、追加調達後も返済できる状態を作る必要があります。

返済前後の差と支払い遅延から相談の緊急度を決める

店舗営業だけなら現金が残るものの、返済後にマイナスになる場合は、営業不足型と同じ扱いにしません。

既存借入の残高、月返済額、完済予定日を一覧にし、次回返済日前に取引金融機関へ相談しましょう

家賃・仕入・給与・税金など複数の支払いが不足する場合や、すでに遅延がある場合は緊急相談型です。

新しい資金調達商品の比較を続けるより、支払先・金融機関・公的窓口へ現在の不足額を伝えることを優先しましょう。

13週間の資金繰り表で次の不足を先に見つける

直近の不足を乗り切っても、その後の給与・家賃・仕入で再び資金不足になる場合があります。

約3か月先までを週単位で並べ、どの週に終了残高がマイナスになるかを確認しましょう

13週間は法令や融資制度上の必須期間ではなく、毎月の固定費と複数回の入金・仕入を一つの表で確認するための管理期間です。

週末終了残高 = 週初残高 + 週の入金 - 週の支払い

週ごとの入金・支払い・終了残高を同じ条件で並べる

以下は、13週間表の読み方を示す仮定ケースです。

実在店舗の平均値や、飲食店に推奨する資金水準ではありません。

13週間試算の共通条件

  • 初めの現預金:40万円
  • 毎週の入金:85万円(現金売上15万円、キャッシュレス等70万円)
  • 毎週の通常支払い:60万円(仕入25万円、人件費25万円、水道光熱費・その他10万円)
  • 家賃:第1・5・9・13週に30万円
  • 借入返済等:第2・6・10週に20万円
  • 税金・社会保険等:第4・8・12週に25万円

金額はすべて万円単位です。

自店では、週初残高、決済別入金、仕入、人件費、家賃、返済、税金へ置き換えましょう。

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週初残高入金通常支払い家賃返済・税等週末終了残高
第1週40856030035
第2週3502040
第3週400065
第4週6502565
第5週6530060
第6週6002065
第7週650090
第8週9002590
第9週9030085
第10週8502090
第11週9000115
第12週115025115
第13週115300110
仮定ケース。単位は万円。端数処理はありません。

基準ケースでは、期間中の最低残高は第1週末の35万円で、13週末は110万円です。

ただし、この結果だけで十分な資金余力があるとは判断できません。

入金減少や遅延、仕入増加を一つずつ反映しましょう。

基準ケースと一つずつ変える悪化ケースを比べる

どの変数が結論を変えるかを確認するため、一度に変える主要条件は一つにしましょう

複数の条件を同時に悪化させると、原因と必要な対策を読み取りにくくなるためです。

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ケース変更する条件最初にマイナスになる週期間中の最低残高第13週末残高読み取り
基準ケース変更なしなし35万円110万円通常条件では13週間の支払いを維持できる
売上入金10%減毎週の入金85万円を76.5万円へ変更第13週▲0.5万円▲0.5万円小さな入金減でも累積すると資金が尽きる
決済入金1週遅延第5週のキャッシュレス等70万円を第6週へ移動第5週▲10万円110万円事業全体は成立しても一時的な不足が起きる
仕入支払い10%増毎週の仕入25万円を27.5万円へ変更なし32.5万円77.5万円現時点では持つが資金余力が減る
すべて仮定条件による試算例です。売上減少率や入金遅延日数を一般基準として使わないでください。

売上入金の減少は週ごとに累積し、決済入金の遅延は特定週だけを大きく落とします。

同じ資金不足でも原因が異なるため、自店で起きやすい変数を一つずつ置き換えましょう。

一つずつ条件を変える試算は、資金不足の原因を見つけるために使います。

実際に資金調達や返済可否を決める前には、売上入金の減少、仕入増加、入金遅延など、自店で同時に起こり得る条件を組み合わせたケースも確認しましょう。

直近1〜2週間は日付別、その後は週次で更新する

支払日が近い期間を週単位だけで見ると、週の途中で残高がマイナスになる日を見落とします

直近は日付別、その先は週単位で管理しましょう

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対象期間管理単位更新するタイミング
次の支払日まで2週間以内日付別請求書・給与額・入金予定が変わった日
3週目以降週単位少なくとも週1回
大口入金・大口支払いがある週日付別金額または期日が確定した時点
基準ケースが変わったとき日付別・週次の両方予約減、仕入値上げ、設備故障等が分かった時点

次の支払日までに行う改善策を不足額へ反映する

改善策は、金額の大きさだけでなく、支払日までに実行できるかで選びましょう。

まだ実行していない削減案や、相手方が同意していない期日変更を不足額から差し引いてはいけません

改善後の不足残 = max(0円、-改善策・期日変更・追加入金を反映した後の対象期間内最低終了残高)

改善策・期日変更・追加入金を日付別表の該当日へ入れ、終了残高をもう一度計算しましょう。

期日変更した支払いは表から消さず、合意した新しい支払日へ移しましょう。

ここで出る金額は借入希望額ではなく、内部改善や支払条件変更を反映しても、まだ埋まっていない資金差額です。

発注・廃棄・シフト・未使用契約から確認する

支払日前に効果が出る項目から確認しましょう。

売上へ必要な食材や人員まで一律に減らすと、提供できる商品や営業時間が減り、現金不足が広がることがあります。

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原因支払日前に行うこと不足額へ反映できる条件効果が出る時期
過剰な仕入未発注分、在庫、納品頻度、食材転用を確認する発注取消・数量変更が確定した金額だけ当日〜数日
廃棄増加仕込み量、作り置き、曜日別廃棄を見直す次回発注額の削減が確定した金額だけ当日〜1週間
シフト過多売上が弱い時間帯、残業、重複配置を見る確定済みシフトを適法・適切に変更できた金額だけ次回シフト以降
未使用契約システム、保守、オプションの解約条件を確認する実際の請求停止日が確定した金額だけ契約条件による
決済入金待ち次回振込日、控除後金額、早期入金費用を比べる振込予定額と日付が確定した金額だけ数日〜次回入金日

不足額へ反映するのは、実行と金額が確定したものだけです。
「減らせそう」「相談する予定」という段階では、悪化ケース側へ残しましょう。

支払先へは不足額と確定入金日を伝える

支払いについて相談するときは、「資金繰りが苦しい」とだけ伝えるのではなく、期日、支払額、不足額、確定入金日、希望する対応をそろえましょう。

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伝える項目仮定例
支払期日9月15日
支払額20万円
対象期間内の不足額25万円
次の確定入金日・金額9月20日・40万円
希望する対応5日間の期日変更、または一部の分割
20万円全額を期日変更した場合の支払日9月20日
全額を期日変更した場合に残る不足額5万円
相手方が期日変更・分割へ応じるとは限りません。合意前の金額は改善額へ含めないでください。

20万円全額を9月20日へ変更できた場合も、変更後の日付別残高を確認する必要があります。

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日付変更後の動き終了残高
9月12日家賃30万円を支払う5万円
9月15日20万円の支払いを9月20日へ変更する5万円
9月18日その他支払い10万円マイナス5万円
9月20日入金40万円・延期した支払い20万円15万円

20万円全額を延期できても、9月18日時点で5万円不足しますし、一部だけの分割なら、残る不足額はさらに大きくなります。

期日変更だけで不足全体が埋まったと判断せず、変更後の日付別残高を再計算しましょう。

期日を過ぎてからではなく、不足額が分かった時点で相談しましょう。
約束できない入金日や支払額を伝えず、管理画面、請求書、通帳などで確認できる情報を使いましょう。

資金調達は調達後・返済後の残高で考える

直近の不足額をそのまま借入希望額にすると、過大・過小のどちらにもなり得ます。

調達額を固定式だけで決めず、調達後・返済後の残高を日付別表と13週間表で再計算しましょう

  1. 改善後の日付別表へ、検討する調達額と入金予定日を入れる
  2. 手数料や利息がある場合は、支払予定へ加える
  3. 13週間表へ返済開始日と返済額を入れる。
    初回返済が第13週より後なら、初回返済と、その後に来る給与・家賃・税金等の主要支払いを含む週まで表を延長する
  4. 基準ケースと悪化ケースの最低終了残高を再計算する
  5. 悪化ケースでも、仕入・給与・家賃・返済を維持できるか判断する

通常営業でも現金が減る場合や、返済原資を説明できない場合は、新規調達だけで埋めようとせず、改善と相談を先に進めましょう。

飲食店に限らない緊急時の資金繰り対応は、次の記事で不足日・不足額、支払相談、資金調達の違いまで確認できます。

飲食店が確認できる公的融資は資金使途と対象条件で分ける

飲食店向けの公的融資は、すべて同じ条件ではありません。

仕入・人件費など日々の営業に使うお金は運転資金、厨房機器の購入や店舗改装などに使うお金は設備資金として整理します。

何の支払いが不足するかを分けたうえで、生活衛生同業組合への加入・従業員数・経営指導など各制度の条件を確認しましょう

一般貸付と生活衛生関係の制度を同じ軸で比べる

2026年8月28日時点の日本政策金融公庫の主な制度を、資金使途と対象条件で整理しましょう

金利は借入期間、担保、適用する特別利率等で変わるため、表では固定していません

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制度主な資金使途主な対象条件確認日時点の主な枠・期間最初の相談判断
一般貸付運転資金・設備資金事業を営むほとんどの業種運転資金4,800万円、5年以内(特に必要な場合7年以内)一般的な運転資金・設備資金の相談候補
一般貸付(生活衛生貸付)設備資金飲食店等の生活衛生関係営業飲食店は7,200万円、13年以内。原則として都道府県知事の推せん書が必要。設備資金の申込額が500万円以下の場合は不要直近の運転資金不足だけを理由に選ばない
振興事業貸付設備資金・運転資金認定を受けた生活衛生同業組合の組合員運転資金5,700万円、10年以内組合員で運転資金が必要な場合の候補
生活衛生改善貸付経営改善に必要な資金飲食店等は常時使用する従業員5人以下、経営指導・推薦等2,000万円、10年以内、無担保・無保証人条件を満たす小規模飲食店の候補
日本政策金融公庫の制度内容は2026年8月28日時点です。審査があり、希望額・希望条件どおりになるとは限りません。

制度名だけで決めず、何の支払いへ使う資金かを先に整理しましょう。
生活衛生関係営業でも、一般貸付や他の特別貸付が相談候補になる場合があります。

融資後も悪化ケースで返済を維持できるか確認する

融資は、一時的な入金待ちや、改善策の効果が出るまでの資金を補う手段になり得ます

一方、通常営業による入金より支出が多い状態では、融資後に返済負担が加わります。

基準ケースだけでなく、売上入金減少や仕入増加を反映した悪化ケースへ返済額を加え、週末残高がマイナスにならないか確認しましょう。

返済後に不足する場合は、融資額の比較より、改善計画と既存金融機関への相談を優先しましょう。

既存債務や複数の支払いが厳しいときは相談先を分ける

相談先は、新しい資金が必要なのか、営業収支を改善したいのか、既存返済を見直したいのかで異なります。

現在の問題に合う窓口から始めましょう。

悩みの種類から最初の相談先を決める

最初の相談先は、新しい資金の調達、営業収支の改善、既存返済の見直し、税・社会保険、再生・廃業のどれを相談したいかで分かれます。

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現在の悩み最初の相談先主に相談する内容
新しい運転資金・設備資金が必要日本政策金融公庫、取引金融機関、信用保証協会制度、必要書類、返済計画
原価・人件費・売上構造を見直したいよろず支援拠点、商工会・商工会議所経営改善、資金繰り表、事業計画
既存借入の次回返済が難しい現在の取引金融機関返済条件、資金繰り、改善計画
複数の金融機関との調整が必要中小企業活性化協議会収益力改善、再生計画、金融調整
税金・社会保険料の納付が難しい税務署、自治体、年金事務所等利用できる相談・手続き、必要書類
廃業や保証債務まで検討している中小企業活性化協議会、弁護士等廃業・再チャレンジ、法的手続き

よろず支援拠点は、国が47都道府県に設置する無料の経営相談所で、資金繰り改善を含む経営課題へ対応しています。
中小企業活性化協議会は、財務上の課題を持つ中小企業・小規模事業者を対象に、収益力改善、事業再生、金融調整、廃業・再チャレンジ等を支援します。

相談前に資金繰り表と借入一覧を用意する

資料が完全にそろうまで相談を遅らせる必要はありません

まず不足日と不足額を伝え、追加で必要な資料を確認しましょう。

相談前にまとめる資料

  • 日付別・13週間の資金繰り表
  • 直近の試算表と決算書
  • 預金通帳または口座明細
  • 借入先、残高、金利、月返済額、返済日の一覧
  • 仕入、給与、家賃、税金、社会保険料の支払予定
  • POS・レジの客数、客単価、売上データ
  • キャッシュレス・デリバリーの入金予定
  • 在庫・廃棄の記録

中小企業活性化協議会は、窓口相談時の資料として直近3期分の決算書等と会社概要が分かる資料を案内しています。

複数の支払い遅延が見えるなら商品比較を止める

  • 次回返済額を用意できない
  • 家賃・仕入・税金など複数の支払いが不足する
  • 経営者個人のお金を毎月入れている
  • 新規借入を既存返済へ回している

といった場合は、資金調達商品の比較だけを続けないでください

相談先ごとの役割、費用、予約方法、持参資料は、次の記事で詳しく確認できます。

【Q&A】飲食店の資金繰りで迷いやすい疑問に答える

飲食店の資金繰りで判断に迷いやすい点を、Q&Aで確認しましょう。

飲食店の資金繰りが苦しいとき、最初に何をすべきですか?

次の確定入金までの入出金を日付順に並べ、不足日と不足額を出しましょう。

融資や早期入金の比較は、確定入金後に残高が戻るか、通常営業でも現金が減るかを分けた後に行いましょう。

不足額はどの金額を基準に計算しますか?

対象期間内の最低終了残高が0円を下回る場合に、そのマイナス額をプラスへ直した金額を不足額とします。

最初にマイナスになった日の金額だけで止めず、次の確定入金後に残高が戻る日、または計画期間まで計算を続けましょう。

売上や利益が出ているのに現金が足りないのはなぜですか?

売上日と入金日がずれ、入金前に仕入・給与・家賃を支払うと、利益が出ていても現金は不足します。

在庫や売掛金が増えた場合も利益と現金の動きは一致しないため、帳簿上の利益ではなく日付別の口座残高を確認しましょう。

キャッシュレス売上の入金が遅いときはどう対応しますか?

加盟店管理画面で次回入金日と控除後の振込予定額を確認し、日付別の資金繰り表へ入れましょう。

早期入金が確定したら、元の入金予定を新しい入金日と実際の振込予定額へ置き換えましょう。

利用料等が別払いなら支出へ加え、振込額から控除済みなら重ねて引かずに最低終了残高を再計算します。

13週間の資金繰り表は必ず13週間で作る必要がありますか?

いいえ。

13週間は法令や融資制度上の必須期間ではありません。

約3か月先の固定費と複数回の入金・仕入を見る管理期間として使い、直近1〜2週間と大口入出金のある週は日付別に確認しましょう。

飲食店向けの公的融資は仕入や家賃にも使えますか?

制度によって異なります。

一般貸付や振興事業貸付には運転資金の枠がありますが、一般貸付(生活衛生貸付)は設備資金が対象です。

資金使途、組合加入、従業員数、経営指導などの条件を整理し、使途に合う制度を日本政策金融公庫や取引金融機関へ相談しましょう。

どの段階で金融機関や公的窓口へ相談すべきですか?

次回返済を用意できない、複数の支払いが不足する、すでに遅延がある、確定入金が見えない場合は、商品比較より相談を優先しましょう。

不足日・不足額と借入一覧を用意し、既存返済は取引金融機関、経営改善はよろず支援拠点、複数金融機関の調整は中小企業活性化協議会など、問題に合う窓口へ連絡しましょう。

終わりに|不足額を出してから改善・相談・資金調達を選ぶ

飲食店の資金繰りが苦しいときは、融資先を探す前に、不足日・不足額・確定入金後の残高を確認しましょう。

最初にマイナスになる額だけでなく、次の確定入金までの最低残高を見ることが重要です

資金繰りが苦しいときの確認順

  1. 日付別の終了残高を作り、不足日と不足額を出す
  2. 客数・客単価・仕入・廃棄・人件費・入金日の原因を分ける
  3. 13週間の基準ケースと悪化ケースを作る
  4. 改善策・期日変更・追加入金を日付へ入れ直し、最低終了残高を再計算する
  5. 調達額・費用・返済を13週間表へ入れ、改善・相談・資金調達を選ぶ

確定入金後に残高が戻るなら、主な問題は入出金の時期差です。
通常営業でも現金が減る場合や、返済後に不足する場合は、追加調達だけで先送りせず、営業改善と既存金融機関・公的窓口への相談を進めましょう。

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引用・参考出典

引用・参考出典は、次のとおりです。

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